AIの開発というと、すごく難しいイメージを持つ人はいまでも多いようだ。確かに、ディープラーニングを利用したAIのプログラムを構築するには、TensorFlowのようなフレームワークと呼ばれるソフトウェア開発キットを利用して環境を作り、学習プロセスを何日にもわたって走らせて……と、難しそうだなイメージがあるのは否めない。
しかし、そんな「難しいAI開発」は、すでに昔話になりつつある。たとえばいまでは、NVIDIAが、AIの開発を簡単にできる「NGC」(NVIDIA GPU Cloud)という仕組みを用意。NGCではコンテナと呼ばれるOSや開発環境の仮想イメージをPCにダウンロードするだけで、簡単にAI開発を行なうことが可能となっている。
パソコン工房の「DEEP∞」(ディープ インフィニティ)は、AIプログラムの開発に特化したラインナップで、デスクトップPCからノートPCまで幅広い製品が用意されている。DEEP∞も、NGC設定サービスが標準で搭載されており、導入したらすぐにAI開発を始めることができる。
AIを活用したサービスやアプリを開発したいが、どのようなマシンを用意したらいいのかわからないというユーザーにぜひともお勧めしたいものとなっている。
着実に普及しつつあるディープラーニングを活用したAI
2010年代後半からじょじょに注目を集めるようになってきたのが、AIを活用したアプリケーションだ。マシンラーニング(機械学習)のなかでも、とくにディープラーニング(深層学習)と呼ばれる手法が注目を集め、その研究が進んだ結果、2010年代後半から多くのアプリケーションに搭載が進んでいった。
ユーザーに近い事例で言うと、AppleのSiri、AmazonのAlexaのような音声認識機能は、スマートフォンやスマートスピーカーが拾ったユーザーの声を、クラウド上に置かれたAIエンジンが解析し、その答えを返す仕組みになっている。あるいはADAS(先進運転支援システム)や自動運転の機能を持つ自動車では、自動車の前方などに設置されたカメラからの映像をAIが識し、ステアリングやアクセル、ブレーキなどのシステムを操作する仕組みになっている。そのように、AIは人間が苦手なことを人間に代わって作業を実行し、助けてくれる便利な存在で、すでにわれわれの生活に溶け込みはじめている。
いまなお、AIプログラムを設計/制作しWebサービス/アプリとしてスマートフォンなどから利用できるようにするというニーズは高まっている。同時に、ディープラーニングの手法を活用したプログラムを設計/制作したいと考える開発者も増え続けている。
そうしたAIアプリケーションを開発するうえで重要になるのが、開発したAIエンジンにデータを読み込ませる学習だ。学習には膨大な計算能力が必要で、CPUでは追いつかず、並列処理が得意なGPUを利用して行なうことが一般的となっている。ディープラーニングを利用したAIアプリケーションの開発を行なう=GPUで学習させると言い換えても良い状況だ。
オープンソースを活用したディープラーニングの開発を手軽に実現するNVIDIAのNGC
ここで開発者にとって大きなハードルになるのが、AIのソフトウェア開発環境だ。NVIDIAのGPUを用意すれば良いことはわかるが、どんなハードウェア、どんな開発キットを用意して、OSはオープンソースのLinuxベースで……と、これまでとは違う開発環境に戸惑うソフトウェア開発者も少なくないというのが現状だ。
そこで、ディープラーニングの学習用GPUを提供するNVIDIAが開発し、ユーザーに無償で配布しているのがNGCだ。NGCでは、HPCやWebサーバーなどの世界では標準的に使われているDockerという仕組みが活用されている。Dockerというのは、コンテナ仮想化と呼ばれる手法を利用して、OSやプログラムの実行環境などをイメージ化し、「Dockerコンテナ」というかたちで格納。それをDockerエンジンという一種の仮想化ソフトウェアエンジンの上で動かす仕組みとなっている。これにより、Dockerコンテナをダウンロードして実行するだけで、NVIDIA GPUに最適化されたOSや開発環境の上でAIの開発を手軽に行なうことが可能になるのだ。
NVIDIAでは、このDockerコンテナを「NGCコンテナ」として、ソフトウェア開発者がNVIDIA GPUを活用してAIアプリケーションを開発するのに必要な構築済み環境を提供している。つまり、ソフトウェア開発者の人はNGCコンテナをダウンロードしてきて自分のPC環境にコピーするだけで、GPUを利用した開発を簡単にはじ始めることができるのだ。
NGCの設定サービスが標準でバンドルされるDEEP∞
パソコン工房が販売する「iiyama PC」ブランドのDEEP∞は、そうしたNGCに標準で対応しているPCになる。OSはLinuxベースのUbuntuが採用され、そこにNVIDIAのGPUドライバとNGCの設定サービスが標準でバンドルされており、ユーザーは購入してNGCコンテナをダウンロードするだけで簡単にディープラーニングの学習をはじめることができる。
CPUはIntel CoreプロセッサだけでなくXeonプロセッサまで、高い性能を持つものが採用。もちろんNVIDIAのGPUを標準で搭載しており、GeForce RTX 3090/24GB、GeForce RTX 3070/8GB、Quadro P400/2GBなどGPUの選択肢も多く、目的に応じて選ぶことができる。
参考までに、ミドルタワー型で廉価な「DEEP-T049-iX7-TAXH」は、Core i7-10700、メモリ16GB、1TB SSD、1TB HDD、GeForce RTX 3070を搭載し、価格は23万7,800円(税別)。ハイエンドの「DEEP-7049GP-XeS4-XAQX」は、Xeon Silver 4210R×2、メモリ96GB、1TB SSD、Quadro P400、GeForce RTX 3090×4、冗長化電源を搭載し、価格は185万9,800円(税別)。
デスクトップPCだけでなく、ノートPCを選べることも特徴で、17.3型のフルHDディスプレイを搭載した「DEEP-17FG102-i7-VOXVI」では、Core i7-9700、16GBメモリ、250GB SSD、1TB HDD、GeForce RTX 2080を搭載し、価格は28万9,980円(税別)。
また、各モデルにはaxのデモソフト「ailia AI showcase」が付属。物体検出、画像分類、特徴抽出、骨格抽出、個人識別など学習済みモデルを使ったさまざまなAI機能を手軽に試せるよう配慮されている。
ターゲットは、学校、研究機関、企業となっており、学習だけでなく、推論や各種プログラミングにも活用できる。パソコン工房では、iiyama PCにおいてLinux OSはサポート対象外としているが、DEEP∞に関しては、採用しているパーツを使用し、同社が独自に検証した動作確認情報を提供しており、じゅうぶんな信頼性を確保している。
最新のGeForce RTX 3090についても、Ubuntu環境でCUDAサンプルや、TensorFlowでのmnistサンプルの実行、そして、NGCについてもDocker上でmnistサンプルの動作確認が取れている。
パソコン工房とAIがぱっと結びつくユーザーはもしかしたらまだ少ないかもしれないが、DEEP∞シリーズは、すでに2年以上の実績があり、技術面で定評のある同社のノウハウが詰め込まれた製品群となっている。AI開発体制を強化したく、すぐにでもマシンを増強したいという人は、ぜひとも選択肢の1つとして検討することをお勧めする。
ビジネスユーザー向けに多くの特典が用意されている「ユニットコム ビジネスご優待会員」
パソコン工房を運営するユニットコムでは、ビジネスユーザー(法人、個人事業主、そのほか団体)向けの会員サービスとして「ユニットコム ビジネスご優待会員」というサービスを2020年から開始しており、会員を募集中だ。
ユニットコム ビジネスご優待会員では、ビジネスユーザー向けのポイントサービスを基本として、ユニットコム系列のPCショップ(パソコン工房、グッドウィル、BUY MORE、デジタルドラゴン、Ark)の店舗や通販サイトで購入したときに、購入金額に応じたポイントが付与され、それを店舗や通販サイトで支払いなどに利用できる。
会費、年会費など一切無料で、登録するだけで会員だけの特別優待セールや、会員のランクに応じたポイント還元率アップなどの特典を受けることが可能だ。
また、ビジネス優待会員向けにはオンラインでの商談、店舗で利用できるクーポンなどの特典も用意されており、ユニットコム系列のPCショップや通販サイトで、DEEP∞をはじめとしたPCや、PCパーツなどを購入する機会が多い法人や個人事業主であれば入っておいてメリットしかないだろう。
さらに、ユニットコムB2Bメンバーカードに申し込むことで、さらなるメリットがある。ユニットコムB2Bメンバーカードには、ブルーとブラックという2つの種類のカードが用意。ブルーはポイントの還元などを通販サイトやユニットコム系列PCショップのリアル店舗でも受けられるためのものだが、注目なのはブラックだ。
ブラックに申し込むと、売掛(後払い)決済が可能になる。加えて、ブラックに申し込むと、代表者カードだけでなく担当者用カードという追加カードを発行することが可能になっている(1事業者で代表者カードを含めて最大9枚まで)。
このブラックカードのポイントは、法人全体で共有化することもできる。これまでであれば、購入したパーツのポイントなどは担当者個人のポイントとなったりしている企業などが多かったと思うが、このブラックカードなら、どの購入者のポイントも組織のポイントとなり、企業の会計上もメリットがある。
ユニットコム系列のPCショップでPCパーツの購入を計画しているビジネスユーザーであれば、ユニットコム ビジネスご優待会員とユニットコムB2Bメンバーカードは申し込んでおけば「お得」になることだけなので、申し込まない理由はないだろう。
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