【6月14日 People’s Daily】中国初の火星探査機「天問1号(Tianwen-1)」に搭載された探査車(ローバー)「祝融号(Zhurong)」が火星の地表で探査活動を始めている。想像を超える火星の過酷な環境の中、90日間にわたるミッションを続けている。
5月22日午前午前10時40分、祝融号は着陸機から離れ、火星の地表に着地。そして52.2センチ、地表を移動した。中国国家宇宙局(CNSA)は、祝融号の前方と後方の障害物検知カメラで撮影された写真を公開。祝融号が火星に初めて痕跡を残した。火星探査プロジェクト総設計師の張栄橋(Zhang Rongqiao)氏は「祝融号は303日間ともに行動した着陸機から離れ、私たちが待ち望んだ火星の未知の大地に非常に安定した歩みで足を踏み入れた」と語った。
中国初の火星探査ミッションである天問1号は、1回の打ち上げで「火星の軌道周回、着陸、地上探査」という3つの任務を達成するという宇宙事業で史上空前の偉業を成し遂げた。祝融号の外見は青い光を放つチョウのように美しく、太陽光パネルの4枚の「羽」を持っている。車体には高性能のサスペンション機能があり、蠕動(はいずるような動き)、ホイールリフト、車体昇降などの運動モードを備えている。祝融号総合主任設計師の陳百超(Chen Baichao)氏は「サスペンション機能により、1つの車輪が地面に落ち込んだり故障したりしても、移動能力を失うことはない」と説明する。
祝融号は重さ240キロ、長さ3.3メートル、幅3.2メートル、高さ1.85メートル。設計寿命は90火星日(地球の92日間に相当)で、火星の空間環境や地表の形状、土壌の表面構造、大気(気温、気圧、風速、風向)、局部磁場などの調査を行う。「勤務サイクル」は3日間。1日は周辺環境の探知、1日は走行、1日は調査というローテーションだ。データは毎日更新しているが、火星の環境は過酷なため、1日の「勤務時間」は1~2時間に限られる。
祝融号のミッションは順調だが、多くの困難を克服する必要がある。火星探査機副総設計師の賈陽(Gu Yang)氏は「火星の表面は光が弱く、低温で、地球と火星間の通信は厳しい制限がある。さらに予想のつかない砂嵐などで祝融号の探査を妨げようとしている」という。
地球と火星の距離が3億2000万キロ離れていたら、信号が往復するのに40分間を要する。これだけタイムラグがあると、リアルタイムで祝融号をコントロールすることはできない。火星は夜間になるとマイナス130度まで気温が下がり、火星の風速は秒速180メートルと地球上のスーパー台風の3倍ほどに達することがある。激しい砂嵐が起きれば太陽光発電に支障が出る。
こうした問題に対し、中国国家宇宙局のプロジェクトチームは火星の光や大気、温度、土壌などの特性に応じて祝融号が効果的にミッションを果たすよう調整。過酷で重要な任務を背負った祝融号は、未知の大地の情報を地球に贈り続けている。(c)People’s Daily/AFPBB News
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