宮城県利府町の水生生物保全協会などは、絶滅危惧種ゼニタナゴが復活した伊豆沼・内沼(栗原、登米両市)付近のため池で、いったんは駆除したブラックバスが外来生物法違反の放流により再繁殖した可能性が高いことを示す調査結果をまとめた。
ため池は栗原市築館にあり、伊豆沼・内沼とつながっている。地元環境保全団体などがゼニタナゴの復活を目指して2018年9月、池の水を干しブラックバスなど外来魚を駆除した。
翌19年8月の調査でブラックバスは見つからなかったが、20年6月に多数の魚影を確認した。捕獲数などから約7000匹のブラックバスの稚魚が生息すると推計された。
水生生物保全協会などは、一時は姿を消した稚魚が約7000匹に増えた原因について調査。19年8月以降に違法放流があったケースと、18年9月の駆除で取り残したケースを想定し、分析した。
その結果、約30センチのブラックバスならば5匹、約20センチならば8匹を違法放流すると、稚魚約7000匹になると推計された。取り残し想定では、池の水を干したにもかかわらず約30センチを8匹、稚魚ならば約90匹を見逃したことになり、現実的でないと結論付けた。
ブラックバスより小さいブルーギルが確認されなかったことも、取り残しが原因と考えにくい根拠となった。
調査結果をまとめた論文は県伊豆沼・内沼環境保全財団(栗原市)の学術誌で30日に発表される。共著者の1人、水生生物保全協会の斉藤憲治代表は「ブラックバスの放流が違法行為であるとの認識を浸透させる必要がある」と強調する。
[外来生物法]日本固有の生態系などに被害を与える外来動植物を指定し無許可の飼育、持ち運び、放流などを禁止する。指定外来種は156種。違反の場合、個人は3年以下の懲役または300万円以下の罰金。釣った魚の再放流(リリース)の規制はないが、宮城県などの内水面漁場管理委員会が禁じている。
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