今やドラマの人気ジャンルの1つとなっている“飯テロ”。多種多様な作品が登場しているが、最近、さらなる進化を遂げているという。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが最新事情を解説する。
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大みそかの放送もすっかり定着した『孤独のグルメ』(テレビ東京系)を筆頭とする深夜ドラマの“飯テロ”は、ますます広がる一方です。
女性が一人で食事を楽しむ『ワカコ酒』『ひねくれ女のボッチ飯』(テレビ東京系)、レシピにスポットを当てた『きのう何食べた?』『新米姉妹のふたりごはん』(テレビ東京系)、絶滅しそうなメニューをめぐる『絶メシロード』(テレビ東京系)。
高級バーガーの『女子グルメバーガー部』(テレビ東京系)、学校給食の『おいしい給食』(TOKYO MXほか)なども放送されたほか、現在もサラリーマンが出張先のご当地グルメや酒を帰りの新幹線で楽しむ『#居酒屋新幹線』(MBS・TBS系)が放送されています。
その印象は、競い合うように「進化」しているだけでなく、ジャンルが枝分かれしていく「分化」。先週15日の土曜深夜にスタートした『鹿楓堂よついろ日和』(テレビ朝日系)は、飯テロのさらなる進化と分化を感じさせる作品です。
飯テロと和風イケメンの組み合わせ
『鹿楓堂よついろ日和』は、都会の片隅に佇む和風喫茶「鹿楓堂」を舞台に、そこで働く4人の青年が料理やスイーツで悩みを抱えるお客さんの心とお腹を満たしていく……という物語。「魅惑の着物男子×極上グルメがお客さまを癒します」というキャッチコピーであることからも、飯テロに和風イケメンを組み合わせた作品であることがわかります。
さらに特筆すべきは、主要キャストとしてジャニーズ事務所の3人が出演していること。主人公の「鹿楓堂」店主・スイ(東極京水)をジャニーズWESTの小瀧望さん、スイーツ担当の椿をなにわ男子の大西流星さん、スイの双子の兄・東極八京をジャニーズWESTの藤井流星さんが演じていますが、飯テロにジャニーズのアイドルがここまで絡んでいることに驚かされました。
近年のジャニーズ所属タレントが出演したグルメ関連の深夜ドラマには、2017年夏にHey! Say! JUMPの有岡大貴さん、高木雄也さん、八乙女光さんがトリプル主演を務めた『孤食ロボット』(日本テレビ系)と、2021年冬にジャニーズWESTの桐山照史さんが主演を務めた『ゲキカラドウ』(テレビ東京系)がありました。
ただ、前者は3人が25cmの小型ロボットを演じるという特殊な作品で、後者は極端な激辛に振り切った内容の作品。月曜深夜と水曜深夜の放送という点も含めて飯テロという印象は薄く、ネット上に「食べたい」という声はそれほどあがっていませんでした。
一方、今回の『鹿楓堂よついろ日和』は第1話から、鮭とイクラの出汁茶漬け、抹茶パフェ、わらび餅、シフォンケーキ、緑茶、ラテ、さらに4人がまかないとして食べる4色鍋を次々にピックアップ。ジャニーズ所属タレントのファンでなくても楽しめるくらい料理のクオリティが高かったほか、それぞれの食事シーンもじっくり映していました。土曜深夜という休日ド真ん中の放送時間帯も含めて、王道の飯テロと言っていいでしょう。
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