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Friday, February 4, 2022

恐竜繁栄の道を開いた三畳紀末の大量絶滅、大噴火による寒冷化が原因 | Science Portal - 科学技術の最新情報サイト「サイエンスポータル」 - サイエンスポータル

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サイエンスクリップ

2022.02.04

草下健夫 / サイエンスポータル編集部

 約2億年前、中生代三畳紀末に起きた史上4回目の生物大量絶滅が、大規模な噴火による地球寒冷化で起きたことが分かった、と東北大学などの研究グループが発表した。当時の地層の堆積岩が含む炭化水素や、岩石の加熱実験を手がかりにした独自の手法を用いた。陸上を支配していた大型のワニが絶滅し、続くジュラ紀、白亜紀の恐竜繁栄へと道を開くきっかけとなった「事件」を解明した。

三畳紀末の大量絶滅の原因を解明した研究の概説図。火山活動で地球が寒冷化し、大型のワニが絶滅。恐竜は生き延びて大型化し君臨した。「火山指標」枠内の2つの構造式は、低温のマグマ加熱で多くできるタイプの炭化水素(海保邦夫・東北大学名誉教授提供)
三畳紀末の大量絶滅の原因を解明した研究の概説図。火山活動で地球が寒冷化し、大型のワニが絶滅。恐竜は生き延びて大型化し君臨した。「火山指標」枠内の2つの構造式は、低温のマグマ加熱で多くできるタイプの炭化水素(海保邦夫・東北大学名誉教授提供)

超大陸分裂、その時代に迫る

 世界の大陸が合体していた超大陸「パンゲア」は三畳紀末に、大規模な火山活動に端を発して分裂した。4回目の大量絶滅の原因は、この火山活動が有力視されていたが、決め手に欠けていた。当時の環境変化も未解明だった。

 そこで研究グループはまず、この時代の地層の堆積岩をオーストリアと英国の地層から採取して調べた。その結果、大量絶滅が始まった時点には、低温でできるタイプの炭化水素が多く含まれていた。同じタイプは、火山噴火で大量絶滅が起こったことが既に解明済みの古生代デボン紀後期(約3億8000万~3億6000万年前)、古生代ペルム紀末(約2億5000万年前)の堆積岩にも多い。普通の地層にはみられない。このことから、三畳紀末の大量絶滅も火山噴火が原因だったと判断した。

 地球はこの大量絶滅の時に寒冷化し、その後に温暖化したことが、カキの化石の分析を基に推定されてきた。グループはこの気候変動を解明しようと、堆積岩を加熱し、出てくるガスを調べた。すると、比較的低温で二酸化硫黄(SO2)が、高温では二酸化炭素(CO2)が、それぞれ多く放出された。

 これらの結果から三畳紀末には、大規模火山活動によって比較的低温のマグマが堆積岩と接触し、大量のSO2が放出されたと考えられる。SO2が成層圏に入ると、硫酸の粒子ができて太陽光を反射し、植物の光合成を妨げたり、地球を寒冷化させたりする。こうした仮説や気候モデルの計算結果を基に、寒冷化により大量絶滅が起こったと結論づけた。

三畳紀末、約2億年前の世界。まだ大西洋が開けていない。中央の火山地域の活動が大量絶滅の引き金となった。×印は今回の研究のため堆積岩を採取した現在の場所、オーストリアと英国に相当(池田昌之・東京大学准教授提供)
三畳紀末、約2億年前の世界。まだ大西洋が開けていない。中央の火山地域の活動が大量絶滅の引き金となった。×印は今回の研究のため堆積岩を採取した現在の場所、オーストリアと英国に相当(池田昌之・東京大学准教授提供)

気候変動まで描き出す

 また、この大量絶滅後の時期の堆積岩には、高温のマグマによってできる炭化水素「コロネン」が多く含まれることも分かった。つまり、三畳紀末に比較的低温だったマグマがその後、火山活動の変化で高温に変わったことを物語っている。これが堆積岩に触れて大気中のCO2濃度が上昇し、温暖化に向かったのだ。

 三畳紀末には水銀も大量にできたが、その起源は噴火以外に陸上の植物も考えられ、絶滅の原因としては決め手を欠いていた。研究グループは、水銀に加え炭化水素を証拠として絶滅の原因を突き止め、さらに火山活動の温度変化が気候を変動させることを解き明かした。

 三畳紀には大型のワニが陸上に君臨し、小型だった恐竜を捕食していた。ところが、このような寒冷化の影響を受け絶滅。天敵から解放された恐竜たちが、ジュラ紀から白亜紀に大型化して王者となり、大繁栄したという。

 研究グループは東北大学、山口大学、東京大学、秋田県立大学、スウェーデン・ルンド大学、米アマースト大学で構成。成果は地球惑星科学の国際誌「アース・アンド・プラネタリー・サイエンス・レターズ」電子版に1月12日に掲載され、東北大学などが13日に発表している。

生命盛衰の解明、カギ握るコロネン

 研究グループの東北大学の海保邦夫名誉教授(地球環境史)は「広い話に影響する仕組みを解き明かした。火山活動のマグマが高温か低温かにより、温暖化するのか寒冷化するのかが異なる。全ての大規模火山活動に応用できる話だ」と述べている。大量絶滅の解明だけでなく、今も発生する大規模噴火の影響を考える上でも役立つという。

 大量絶滅は史上5回起きたとされる。海保名誉教授らはこれまでに、生物が陸に本格進出する前、約4億4500万~4億4300万年前の古生代オルドビス紀末に起きた1回目も、大噴火が原因だったことを水銀の分析を基に2017年に示した。またデボン紀後期の2回目、最大規模だったペルム紀末の3回目も、それぞれ大噴火で起きたことを、コロネンを手がかりに発表している。

 恐竜が絶滅した白亜紀末、6600万年前の5回目は天体衝突が原因だが、この時代の地層からもコロネンが見つかっているという。「オルドビス紀末のコロネンの分析も進め、五大大量絶滅の原因と気候変動の仕組みを総合的に説明できるようにしたい」と海保名誉教授は意気込む。

五大大量絶滅の時期と原因(東北大学などの資料や取材に基づき作成)
五大大量絶滅の時期と原因(東北大学などの資料や取材に基づき作成)

 地球の生き物の命運は少なからず、火山活動が握っているようだ。折しも、この成果の発表直後の1月15日には、南太平洋・トンガ沖の海底火山が大規模噴火を起こし、人類は火山災害の深刻さを痛感させられている。はるか離れた日本列島でも、深夜の津波警報・注意報には驚かされ不安が高まった。生きている星、地球のメカニズムの理解をこれからも深めていきたい。

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