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Thursday, September 8, 2022

実はドジョウのアユモドキ 子どもの手を借り繁殖なるか:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル

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 岡山県内で絶滅が心配されている淡水魚「アユモドキ」の繁殖が今年、大きな一歩を踏み出すかもしれない。アユに似たドジョウの仲間で、国の天然記念物。なんとか数を増やそうと、研究者と企業と小学生が連携してビオトープに放流してきたが、今年は初の産卵につながるような成果があった。

 岡山市東区キリンビール岡山工場に作られたビオトープ。7日、同市立千種小の子どもたちがアユモドキの幼魚約30匹を池に放流した。

 小学校に6個の水槽を置いて人工繁殖させた、大切な稚魚たち。池の中に放たれると、すぐに石や植物の陰に隠れるように散っていった。ただ、ビオトープでの繁殖はこれまで確認されていない。

 アユモドキは県内の河川と琵琶湖・淀川水系のごく限られた場所に生息している。かつては高梁川や広島県の芦田川水系にもいたが、現在は絶滅した可能性がある。環境省第4次レッドリストで絶滅危惧ⅠA類に指定されている。

 アユモドキは漢字で書くと「鮎擬」。ドジョウのようなヒゲはあるが、ずんどうで平らな体形をしており、アユの体形を連想させる。ドジョウのようにいつも泥の中に潜る性質ではなく、中低層を素早く泳ぎ回る姿もアユのようだ。

 「瀬戸アユモドキを守る会」の小林一郎会長によると、かつては普通に各地で見られた生き物で、食用にもなったという。しかし環境の変化で激減した。1977年、国の天然記念物に指定され、採捕が禁じられた。

 アユモドキを増やそうと、守る会と千種小5年生が乗り出した。2016年、学校で人工繁殖させ、キリンビール岡山工場のビオトープに放流する活動を始めた。今年で7回目だ。

 ビオトープは740平方メートルで、水量は500トン。キリンも専門家の指導を受け、環境を改良してきた。持ち込む魚や植物は地元の在来種に限定している。

 19年には、アユモドキの繁殖3カ年計画を開始した。共生できる魚の種類を絞り込んだり、繁殖しやすいように産卵場所となる湿地帯を設けたり、湿地に入りやすい溝を設けたりと、工夫を重ねてきた。

 まだ具体的な成果は出ていないが、光明は差した。ビオトープ内で今年6月、アユモドキと産卵環境がよく似ている絶滅危惧種の「サンヨウコガタスジシマドジョウ」の卵が確認されたのだ。

 そして今回、ビオトープの水際に作った産卵場所に、以前に放流して大きくなったアユモドキが入っていく姿も確認された。十分に産卵できる大きさに成長したアユモドキもみつかっている。

 キリンビール岡山工場の萱場英樹・工場長は「子どもたちが一生懸命繁殖させたアユモドキがビオトープで繁殖する日がくるまで、しっかり成長するような環境整備などに取り組みたい」と話している。(神崎卓征)

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