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Monday, February 20, 2023

コンベアで寿司を運ぶスタイルは絶滅する…スシローの「湯呑み舐め ... - MSN エンターテイメント

amparipisang.blogspot.com ※写真はイメージです © PRESIDENT Online ※写真はイメージです 飲食店での迷惑行為が社会問題化している。とりわけ回転寿司店がいたずらの標的になるのはなぜなのか。外食産業を取材するライターの齋藤訓之さんは「回転寿司店は省人化を徹底しており、入店から会計まで店員と会わないことも珍しくない。ひとの目がないため、客がプライベート空間と誤認してしまっている」という――。

回転寿司店で客の迷惑行為が横行する理由

回転寿司大手「スシロー」で撮影されたお客の迷惑行為の動画について、親会社のFOOD & LIFE COMPANIESは、対応を開始している旨を1月30日に発表した。さらに、2月1日には、対象店舗の特定と当座の対策などを発表したが、被害届を警察に提出したこと、迷惑行為を行った当事者と保護者からの謝罪があったこと、しかし会社としては引き続き刑事・民事両面で厳正に対処していくことも記されていたため、改めて、“事の重大さ”を社会に印象づけることとなった。

折しも、「はま寿司」「くら寿司」でのお客による迷惑行為動画が話題になっていたところであり、また、回転寿司以外の外食チェーンでのお客の迷惑行為も相次いで発覚し、耳目を集めている。

いまなぜこのようなことが続くのか。対策はどう考えるべきなのか。そして、今後回転寿司や外食チェーンはどうなっていくのかを考えたい。

調味料などへのいたずらは過去にもあった

まず、飲食店でのお客の迷惑行為自体は、実は新しい問題ではない。筆者は外食業向けの経営情報誌の編集者だったが、迷惑なお客とその対策といった趣旨の特集はしばしば組んだし、概してそうした記事の反響は大きかった。つまり、この種の事案に困っている飲食店の経営者は以前から多かった。

迷惑の内容は、店の仕組みやルールに従ってくれない、他のお客に迷惑をかける、シュガーポットや調味料、つまようじなどの容器にいたずらをする、食器や備品を壊したり盗んだりする、さらには店員に暴力を振るう――といったものだった。そのため、昨今話題の迷惑行為それぞれの内容は、筆者にとってはさほど目新しいものとは感じられなかった。以前と違うのはその伝わり方だ。

ネットの普及で迷惑行為の拡散範囲が拡大した

かつて、この種の情報は飲食店の経営者同士の口コミや投書などでしか伝わってこなかったが、昨今は行為者自身が撮影し、それがネットで伝わっていく。

昔からあったあおり運転がドライブレコーダーによって顕在化したともいわれるが、それと同様に、飲食店での迷惑行為も以前は見えなかったものが見えるようになった。だが、単に見えるようになっただけでなく、瞬く間に広範囲に拡散し、国や世界規模の話題になるという点に新たな恐ろしさがある。これにより、飲食店やその利用客に対しかつてとは次元の異なる結果・影響を招くこととなった。それは、主に次の2つだと言える。

1.迷惑行為を行った当事者の人生を変え得る事態となること。

2.迷惑行為の現場となった店・チェーンの業務を大規模に妨害し、ブランドを大きく毀損(きそん)し得る事態となること。

いずれもインターネットやSNSの伝播(でんぱ)力によるものだ。2については、行為の現場は1カ所であっても、同一と見なされる店舗が複数あるチェーンでは影響なり被害なりが増幅するという点も見逃せない。個人経営など小規模店で発生する迷惑行為を軽視するわけではないが、対象がチェーンで、しかもそれが株式公開企業であった場合には、経済的・社会的な影響はより大規模になり、「黙っていられない」と感じる人(株主や従業員、そしてお客)の人数は桁違いに多くなるということだ。

したがって、このような事柄に対しては、社会全体で早急に防止に取り組んでいくことが必要であると筆者は考える。

客が迷惑行為に走らない工夫も必要

現代は、スマホもSNSもなかった時代とは異なる教育や文化が必要なはずだが、おそらくそこに家庭や学校や社会は追いついていないのだろう。また、昔は街や店の中で見ず知らずの大人が若者や子供の迷惑行為を叱りつけるということはあったが、今はそういう社会とは違ってきている。それらにどう対処していくかについて、家庭、学校、企業などさまざまな場での検討や新しい思潮・文化づくりも大切だろう。

飲食店は本来、人に優しくし、親切にする場である。ある人が、“出禁”になったり、犯罪者になってしまったりということは、店側にとって、他のお客も誘って来店し続けてくれたかもしれない顧客を1人失うということでもある。

店というものは、お客が店内で転んだり、やけどやけがなどの事故がないように気を使って設計されるものである。決して今回の事案について店側に何か落ち度があったというわけではないが、それと同様に、誰かが悪い方へ落ちることがないように守る仕組みも積極的に考えていいのではないか。それは結果的に店側にとってもさらなる良い店づくりにつながるはずである。

省人化を加速させた呼び出しボタン

前段で迷惑行為自体は新しい問題ではないと述べたが、一方で、近年の飲食店は、かつてよりも迷惑行為が発生しやすい形になっていると言える。それは、店のスタッフや他の客の視線を感じにくい客席づくりが一般化していることによる。

たとえば、最近の多くの飲食店は、お客がスタッフを呼ぶための仕組みを備えているが、これは1990年代にファミリーレストランの「ガスト」が、客席に呼び出しボタンを設置したのが嚆矢(こうし)となる。

呼び出しボタンは今でこそ普通のものだが、当時これは非常に過激な装置と見られていた。というのは、それより前のファミリーレストランでは、客席のスタッフは常にお客一人ひとりに目を配り、何かあれば呼ばれる前に向かうことが美徳であり常識とされていたからだ。ところが、外食業界のリーディングカンパニーであったすかいらーくが導入したことで一気に普及し、レストラン業界の常識が変わった。

この種の仕組みは店側の省人化につながる一方で、お客も確実にスタッフを呼べると歓迎された。加えて、呼び出しボタンは「スタッフの目の届かない客席があっても問題がない」という認識を生み、個室タイプの居酒屋の登場にもつながった。また、完全な個室としなくても、背の高いパーティションで客同士の視線をさえぎることもできるようになった。

公共空間である飲食店をプライベート空間と誤認

さらに、タッチパネル等によるセルフオーダーシステムの導入が進んだ結果、客席スタッフがお客のそばに来る回数は段違いに減った。

このように、“ひとの目”を感じにくい客席が普及した結果、お客はスタッフの視線を気にすることなく、自分の座っている席をプライベート空間のように感じてくつろげるようになった。だが一方で、公共空間である飲食店をプライベート空間と誤認したお客が人前ではやらないようなことをやってしまうという新たな問題を引き起こした。

とくに回転寿司の場合は、もともとお客が自分で商品を選んでピックアップするセルフサービスの仕組みである上、タッチパネル等によるセルフオーダーシステムの導入も進んでいる。さらに、ファミリータイプの回転寿司ではレーンにボックス席を横付けするタイプも多い。“ひとの目”を感じにくいレストランの代表的な存在と言えるだろう。

また、回転寿司以外でも、外食チェーンの多くが配膳などにロボットを導入する動きを加速させている。お客が自分で席を選んで座り、タッチパネルでオーダーし、ロボットが配膳と下膳を行い、飲み物はドリンクバーでセルフサービス、会計はセルフレジといったレストランも多い。そこでは、お客が店の中で一度もスタッフと顔を合わせないということもあり得る。したがって、状況的には、迷惑行為発生のリスクを抱えた店は増加していると言えるだろう。

「迷惑行為禁止」の注意書きは抜本的な対策にはならない

では店側はどのような対策を講じればいいのか。

最初に考えられることの一つは、店内に“ひとの目”を取り戻すことだろう。スタッフの巡回回数を増やしたり、パーティションの高さを下げて死角を作らなくするなどが考えられる。しかし、それは省人化といった経営上の要求や、快適性の向上というお客のニーズには反する。

客席の様子を捉えるモニターカメラもあるが、最近はレンズがどちらの方向を撮影しているのかが外からはわかりにくいドームカメラが主流となっており、カメラの“視線”を感じにくくしているので、「見られている」と感じさせることによる“抑止力”にはなりづらくなっている。

もちろん、迷惑行為をさせないための注意書きや警告などを絵や文字で表示するといった方法もあるが、善良なお客にも「あなたは悪い人かもしれない」と言っているようで印象の良いものとは言えない。そもそも、人が行うことを言葉やルールで抑え込もうとしても完全な防止策とはならない。それは迷惑行為に限らず、ミスや事故の防止についても言える。

セブン‐イレブンがコーヒー抽出機に導入した対策

確実な方法はハードで抑え込むことだ。

それには古典的な例がいくつもある。シュガーポットの砂糖を例に挙げれば、使い過ぎたり、いたずらをしようとするお客への対策として、店側は個包装の砂糖(ペットシュガー、スティックシュガー)を採用した。個包装のコーヒーのクリームも同様だ。つまようじも、個包装のものもあれば、1本ずつしか取り出せず、なおかつ出したものは戻しにくい構造の容器もある。

「セブン‐イレブン」が導入している新しいタイプのコーヒーの抽出機は、お客がセットしたカップのサイズを機器が自動的に判別して適量のコーヒーを抽出するようになっている。同チェーンでは、レギュラーの価格でラージサイズを入れようとしたり、より価格の高いカフェラテを抽出して持ち去るお客が問題となっていた。今後カフェラテ用のカップを判別させる機器を導入すれば、そのような逸脱をハードでブロックすることができる。

レストランでなくとも、たとえば宝飾店で商品を裸の状態で陳列して「盗むな」と表示しても効果は期待できないから、鍵付きのガラスケースの中に陳列する。今回、「スシロー」が発表したレーンにアクリル板を設置するという対策の方向性はこれと同じと言える。

こうしたハード面の工夫によって迷惑行為や犯罪ができないようにすることは、絵や文字での注意喚起よりも、お客に悪い印象を与えずに済む。しかも、望ましくない行為を不可能にしてしまうのだから、“出来心”でもお客を犯罪者にしてしまうリスクを減らすことができる。

セルフサービスの飲食店は絶滅する

回転寿司は今後どうなるだろうか。

全体的な流れとしては、提供前の包装されていない食品にお客が直接手を触れる可能性のある仕組みは、今後はなくなっていくだろう。それは回転寿司に限らず、サラダバーや、お客が自分で商品をトングで取るベーカリー、セルフサービスの総菜店など、各種のバイキング形式(ビュッフェスタイル)も含む。これらには、コロナ禍以前から衛生上の懸念が指摘されており、実際に複数の食中毒事件もあった。

また、衛生の問題だけでなく、現在は食品に関わる多くの企業がフードディフェンスに神経をとがらせている。フードディフェンスとは、食品に対する悪意ある異物混入や改変を防止する考え方と仕組みのことだ。

たとえば、今般は食品や食器への唾液の塗り付けが問題となったわけだが、他の、より有害な物質(致死的なものを含む)を混入することも可能な状態があったことは否めない。

回転寿司もバイキング形式のレストランも、健全に利用する分には楽しいものだが、以上のような理由から、無防備な状態のまま、この仕組みを続けることはできないように筆者には思える。

カメラで客の行動を逐一把握することは技術的に可能

ただ、それらを温存し得る対策がないわけではない。

レーン上を回転する寿司にカバーを設置しているくら寿司は、カバーの不審な開閉を検知するカメラを導入すると発表したが、この種の対策は今後も進むだろう。カメラに映っている人物が何をしているかを判別する基本的な技術は既に確立されており、今後はカバーの開閉以外のお客の行動も監視、判別されるのが普通になっていくだろう。

そしてその種の技術は、犯罪防止だけでなく、お客のニーズ把握にも利用されていくだろう。たとえば、あるお客がお冷やを欲しそうにしていたり、ドリンクのグラスを倒して対応が必要であることなどを、いち早くスタッフに知らせたり、ロボットによる対応を起動したりといったことが考えられる。

一方、顔認証により、来店したお客がどこの誰であるかを判別する技術もすでにある。これらを組み合わせると、迷惑行為をしたお客の入店をブロックする仕組みも技術的には可能だろう。しかし、そうすることによって、招かれざるお客のブラックリストが企業を超えて共有され、どこでも外食することができない、どこでも買い物ができないという人が発生してしまうという、新たな社会問題を生じさせるかもしれない。

「寿司テロ」はレストランが新しい形へ向かうきっかけになる

ところで、店内の広範囲にベルトコンベアを這わせる、従来型の回転寿司は一般に初期投資が高いものであった。だが、最近の回転寿司の繁盛店は、レーンを流れる寿司を取らせるよりも、好みのものを注文して出来たてを食べようとするお客に対応しようとしていることが多い。オーダー対応中心の店舗では、そもそもレーンはいらなくなり、レーンを設置しない店舗を作った企業もある。

また、ベルトコンベアではなく、軌道を自走する台によってサーブする機器もすでに存在する。配膳ロボットであれば軌道も不要になる。今後は、タブレット端末やスマートフォンによる注文と自動配膳の組み合わせが主流になるだろう。

一方、ファミリーレストランのスタイルの店舗でありながら、配膳ロボットによって回転寿司のように単価の低い小皿料理を多数販売する形式もあり得る。

今回のいわゆる“寿司テロ”“客テロ”は、回転寿司だけでなく、レストランの新しい形へのシフトのきっかけの一つとして記憶されていくかもしれない。

---------- 齋藤 訓之(さいとう・さとし) Food Watch Japan編集長 1964年、北海道生まれ。中央大学文学部卒業。市場調査会社勤務、『月刊食堂』(柴田書店)編集者、『日経レストラン』(日経BP社)記者、日経BPコンサルティング「ブランド・ジャパン」プロジェクト責任者、『農業経営者』(農業技術通信社)取締役副編集長兼出版部長を経て独立。2010年株式会社香雪社を設立。農業、食品、外食の分野を中心にビジネス誌に記事を執筆し、書籍のプロデュース、編集も行っている。 ----------

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