「生命の創造主」なんて、神を連想させるような称号だが、どうやら人間はそれに近づいているようだ。
なんでも、ある企業が“新種の動物”を生み出そうとしているらしい。
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というのも、遺伝子工学企業の「コロッサル・バイオサイエンス」社が先日「ドードー復活プロジェクト」の本格始動を発表したのだ。
ドードーは、かつてモーリシャス島に生息していた飛べない鳥。島には天敵がいなかったものの、ヨーロッパ人の侵略の際に狩り尽くされ、持ち込まれた外来種によって瞬く間に絶滅へと追いやられた。
本種をよみがえらせ、かつて存在していた生息地に戻すことで生態系のバランスを整える、というのがこのプロジェクトの目標。昨年9月頃から進められていて、複数のベンチャーキャピタルを通して資金を調達。既に1億5000万ドルを確保したという。
また、同社はドードーに限らず、同じく人間によって絶滅へ追い込まれたフクロオオカミ(タスマニアタイガー)や、あのマンモスをも復活させる意向であるらしい。
ただし、「復活」とはいうものの、絶滅前の生物を完全に復元するわけではない。このプロジェクトが指す復活とは、近縁種のゲノムを遺伝子操作することで、科学的に見た“最善の近縁種”を生み出すということ。
これらの動物のゲノム解析は完了しているものの、それだけでは行動や生態を知ることはできないため、類似した新種を生み出すほうが得策なのだそう。
とはいえ、人工の新種を自然に放つとなると、倫理観的に賛否が割れることになるだろう。
一応、国際自然保護連合の「種の保存委員会」は、代理種を「複製よりもよい選択」としているらしい。しかし、(生態系のためとはいえ)人工動物が増殖し、人間の管理下に置かれた自然は、果たして「自然」と呼べるのか?
自然の破壊者から、新種の創造者へ──。
技術的に現実味を帯びているだけに、議論が必要になりそうだ。
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