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ゴールデンウイーク中の4月29日、円相場が大きく上下しました。政府・日銀が為替介入に踏み切ったのではとの見方が広がりますが、公表されていません。介入したとすれば、影響はどれほどなのでしょうか? 再び円安に向かうのか、踏みとどまるのか──。
そこで今回の#みんなのギモンでは、「6時間で5円 円相場が乱高下」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。
●政府が介入? “覆面”のワケ
●円安まだ進む? 介入の効果は
渡邊翔・日銀金融担当キャップ(経済部)
「連休中に円相場が大変なことになっていたんです。4月29日の円相場の動きですが、午前10時半頃に下落し、約34年ぶりに1ドル160円台の円安水準を突破しました」
「ただ、注目すべきはその後です。一転して円高に進み、6時間後には154円台半ばをつけました。一気に5円以上、円高に振れたことになります。何が起きたのか。政府・日銀が為替介入に踏み切ったのではないか、という見方が広がっています」
鈴江奈々アナウンサー
「そういう見方が広がる一方で、まだ正式に『為替介入をした』という情報はないですよね?」
渡邊キャップ
「そうですね。あくまでそうした見方が広がっている、ということにとどまっています」
渡邊キャップ
「長引く円安の影響について見ていきます。横浜のスーパーセルシオに聞きました。円安などの影響で、輸入物の値段が上がっています。去年の同じ月(4月)と比べると、128円だったアボカドが258円、キウイは100円だったのが158円となっています」
鈴江アナウンサー
「1個の値段ですもんね?」
森圭介アナウンサー
「キウイは家族だと家族分の数が必要になりますから、ちょっと手が出せないかなと感じる方も多いでしょうね」
渡邊キャップ
「さらに、物価の優等生と言われる果物のバナナも139円から198円に約60円アップ。アメリカ産の牛バラ肉切り落としは、100グラムあたり20円上がって158円から178円になりました」
斎藤佑樹キャスター
「僕もスーパーにはたまに行くんですけれども、前回行った時と最近行った時では全然値段が違っていて、びっくりしましたね」
渡邊キャップ
「ちょっと何とかしてよ、という気持ちになったところで為替介入の話です。為替介入とはどういうものか。今回のように円安が進んでいる場合は、国が持っているドルを売って円を買い、安くなっている円の価値を強制的に高めていきます」
「大規模な売買を行って一気に相場を動かすことで他の投資家をけん制し、為替相場の過度な変動を抑えることができるものです」
河出奈都美アナウンサー
「金額ではいくらぐらいの規模でやるものなんですか?」
渡邊キャップ
「気になりますよね。前回、2022年の円安の時に政府・日銀は3回の為替介入を行いました。投じた資金は合計で約9.2兆円です。この資金は政府・日銀が持つ外貨準備、つまり外国の通貨で保有している預金や証券などから出されます」
「財務省によると、3月末時点の外貨準備の総額は約200兆円。そのうち、すぐに使える預金は24兆円程度です」
「円安を止める為替介入の資金には限界があるので、何度も簡単にやれるものではありません。だからこそ、慎重に判断して『ここぞ』という時にやらないといけないということです」
斎藤キャスター
「今回も数兆円規模で介入している可能性があるということですか?」
渡邊キャップ
「そうですね。まだ、介入をしているかしていないかは分かりませんが、その結果は5月末に出る財務省のデータを見ると、やったかどうかが正式に分かるという仕組みになっています」
渡邊キャップ
「為替介入を判断する、財務省幹部の神田財務官は29日も30日も『介入の有無については申し上げない』としています。ただ29日のコメントでは『引き続き必要に応じて適切な対応をしていきたい』とも述べています」
「『引き続き』という部分、介入したと聞こえなくもないですよね。さらに、その数時間前の神田財務官の映像を見ると、記者団に囲まれた際、『ノーコメント』と言っていますが笑顔とも見える表情です。取材した記者も『やったんじゃないかな』と感じたそうです」
森アナウンサー
「この表情と、『ノーコメント』というコメント。円相場の動きを見たら、やはり介入したんじゃないかなと思うんですけれども、それでもどうして言わないんですか?」
渡邊キャップ
「まだ介入したかどうか分かりませんが、たとえやっていたとしても、やったかどうか、いつやるかも含めて、手の内を明かさないというのが1つの戦略なんです。このような、介入したとしてもすぐに公表しないことを『覆面介入』と言います」
「市場の動きに詳しい三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩さんによると、『為替介入した』と言ってしまうと、円やドルを売り買いして儲けようとしている投資家が160円までは円安になってもいい、為替介入がないんだなと思ってしまいます」
「つまり、1ドル160円の水準が『防衛ライン』だと思わせてしまいます。そうすると、為替介入したとしてもすぐに160円まで円が売られて、介入の効果がすぐになくなってしまうということです」
「そこで覆面介入をすることで、『具体的には分からないけれども、1ドル160円に近づくと何か起きそうだな』という、ある種の疑心暗鬼を植え付けることができるとしています」
「特に29日は、日本が祝日で休みでした。東京市場も取引がないため、取引に参加している世界の人の数は少なく、少しの取引でもいつもよりも大きな値動きが起こりやすい日でした。介入するとなれば、効果が期待できるかもしれません」
「一気に円高が進んでも、介入なのか、大きな取引があったのか、それともその両方が重なったのかと、まさに疑心暗鬼になりやすく、円を売る動きに歯止めをかける効果が大きい日だったとは言えそうです」
鈴江アナウンサー
「実際に介入があったかどうかは1か月後に分かるけれども、直後に公表するよりは時間稼ぎができる、みたいな見方になるでしょうか?」
渡邊キャップ
「そうですね。ある種、効果が少しだけ長く続くということは言えると思います。やったんじゃないか、と言われている為替介入ですが、どれぐらいの効果が期待できるのでしょうか」
「30日午後4時半すぎの円相場は、1ドル156円88銭前後です。じわりじわりと円安にまた動いてきているかなという感じです」
鈴江アナウンサー
「また円安の方向にググっと進んでいくのか、踏みとどまれるのか、この辺りはどうでしょう?」
渡邊キャップ
「そこは正直、まだ何とも言えないところがあります。なぜなら為替介入というのは、円安の流れをあくまで一時的に食い止める効果しかないからです。そして、今の円安の根本的な要因は何ら解決していません」
「それは、アメリカと日本の政策金利の差です。アメリカの今の金利は5.25%~5.5%で、一方の日本は3月に17年ぶりに利上げを行いましたが、それでも0~0.1%と、まだまだ超低金利と言ってもいい状態だと思います」
「そのため、アメリカのドルを持っていた方が金利(利息)を多くもらえます。そこでみんなドルが欲しい。ドルを買って円を売ると、ドル高円安という動きになりやすいということです」
河出アナウンサー
「日本が金利を上げてアメリカとの金利差を縮めようというふうには、なかなかできないものなのか、やはり差は縮まらないものなのでしょうか?」
渡邊キャップ
「日銀が今後どうするのかは一番の焦点になっているので、私たちも取材している最中で、どうなるのかというところです。アメリカも含めて今すぐこの差が大きく縮まることはない、つまり円安の傾向はしばらく続くのではないかと今のところはみられています」
鈴江アナウンサー
「逆にアメリカの政策金利が変わりそうな見通しはあるんでしょうか?」
渡邊キャップ
「あくまで市場の予測ですが、利下げするとしても、早くても秋になるんじゃないかとされています」
「アメリカの景気が予想以上にいい状態が続き、物価がちょっと高い、インフレが根強い状況がありますので、下がったとしてもなかなか一気に下がることはないんじゃないかと言われています」
「円安をめぐる局面はもしうしばらく、市場と政府・日銀の心理戦が続いていくとなっていきそうです」
(2024年4月30日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
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