Facebookが13日に発売した、スタンドアローンタイプのVRヘッドセット新モデル「Oculus Quest 2」。直販サイトで、64GBモデルが37,100円(税込)、256GBモデルが49,200円(税込)と価格を抑えながら、“史上最高の解像度”というディスプレイを採用。PCなどを用意しなくても、これ単体でハイクオリティなVRゲームなどが楽しめる注目デバイスだ。
発売のタイミングで、このOculus Quest 2に短時間だが触れる機会があったので、初代Oculus Questとのサイズ・デザイン比較や、VR動画の見え方の違いなどを体験したミニレビューをお届けする。
現実世界により近づいた驚きのVR映像
Quest 2の最大の特徴は、“史上最高の解像度”という1,832×1,920ドットを(両目用に)2枚搭載した液晶ディスプレイの画質だ。初代機は1,440✕1,600ドットの有機ELだったが、それと比べて1.5倍の高解像度になっており、今後のアップデートにより、リフレッシュレート90Hzもサポート予定だそうだ(初代機は72Hz)。
高解像度の恩恵は、コンテンツを再生するよりも前に、VR空間のホーム画面が表示された瞬間にわかる。初代も、Quest 2も、同じ「Classic HOME」という部屋を選んでいるのだが、地面の絨毯や外の景色の見え方が、かなり違う。
初代も充分綺麗だと感じていたのだが、空や地面に目をやると、つぶつぶとした“ドット”というか、画素と画素の境目が格子状に見える。いわゆるスクリーンドア効果が感じられる。VRの空間に迷い込んだような、没入感を感じる一方で、“ディスプレイに表示された絵や映像を見ている”という感覚が残る。端的に言えば、“ドット”で現実に引き戻されるような印象だ。
それに対してQuest 2では、ドットがほぼ見えない。外の景色や絨毯に目を凝らしても、格子が見えないので、それが“ディスプレイに表示されているもの”という感覚が薄くなる。座布団の柔らかそうな質感も綺麗に描写されるので、「CGでしょコレ」という感じがあまりせず「柔らかそうな座布団だな」と感じられるわけだ。
これは、Oculus TVで360度のVR映像を鑑賞していても同じだ。例えば、上空のヘリから、ウイングスーツで山へと飛び降りて、そのまま滑空するスポーツの映像。青い空の空間に飛び出して、青い空間をすべるように飛んでいく様子が非常に気持ちが良いのだが、その青空にドットが見えないので、しばらく見ていると「本当の青空」に思えてくる。
エベレストの登頂に挑む動画でも、標高が高くて色が深くなった青空のグラデーションが、Quest 2では非常に自然だ。ゴツゴツとした岩肌を眺めていても、ドットが見えてしまうと興ざめだが、Quest 2では見えないので「ザラザラしてそうな岩肌だなぁ」などと、質感にまで思いを巡らせながら鑑賞できる。
また、音も進化している。イヤフォン/ヘッドフォンの接続もできるが、本体にもスピーカーを搭載しており、その音質に、Quest 2では磨きがかかった。前述のウイングスーツでの飛行動画は、高速で滑空しているので「ゴゥゴゥ」と地鳴りのような風切り音が凄まじい。その低音が、Quest 2では初代より少し深く沈む。音場の空間自体も、初代機よりやや広くなったと感じる。
こうした、画質・音質、両方の進化により、VR空間の“リアルさ”が進化したと感じる。その進化はそのまま、VR空間への“没入度の深さ”にも繋がるだろう。
また、ホーム画面での操作はキビキビと高速で、使っていて気持ちが良い。初代機も、そこまでモッサリしているわけではないが、明らかにQuest 2では処理速度が向上しているのがわかる。具体的には6GB RAMと、Qualcomm Snapdragon SD865を組み合わせ、従来の2倍の処理速度を実現したそうだ。また、Oculus LinkケーブルでPCと接続する事で、Riftストアのソフトも遊べるようになるという。
これにより、よりハイクオリティなゲームもプレイできるようになるという。手にするTouchコントローラーも、デザインが細かく変わり、より持ちやすくなった。バッテリーの持ちも4倍になったそうだ。
昨年発売された初代「Oculus Quest」は、49,800円(64GBモデル)からという価格と、PC不要のスタンドアローンで動作する事など、大きな注目を集めた。「Oculus Quest 2」は、64GBで37,100円(税込)と、初代よりも低価格化しながら、さらなる小型・軽量化を実現。スタンドアローンで動作するQuestの魅力を高めるだけでなく、VRヘッドセットとして、画質・音質という基本的な性能にも磨きをかけた。本当の意味で“気軽にVR世界に没入できる”ヘッドセットの登場と言えそうだ。
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