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Tuesday, November 3, 2020

世界中の死にゆくサンゴを未来へ 「ノアの箱船」プロジェクト(クーリエ・ジャポン) - Yahoo!ニュース

「海のオアシス」が消滅する前に… 神が人類の腐敗に怒って大洪水を起こした際、ノアは神の命令に従って木製の箱船を造った。彼は世界中から動物のつがいを集めてその船に乗せ、動物たちの命を守った──。 【画像】世界中の死にゆくサンゴを未来へ──「ノアの箱船」プロジェクト 旧約聖書に記された「ノアの箱船」が、現代に蘇ろうとしている。 地球温暖化による海面上昇や海水温の上昇の影響を受けて、サンゴ礁が深刻な危機的状況にあるということは以前から声高に叫ばれてきた。そこで、オーストラリアのNGO団体「グレート・バリアリーフ・レガシー」が、ある画期的なプロジェクトを立ち上げた。 世界中から800種類のサンゴを集めて、まるで「ノアの箱船」のように施設内で保管・繁殖させる。そして将来その種が絶滅してしまった際に、その「生きた」サンプルを利用するというものだ。 英「ガーディアン」紙によれば、「リビング・コーラル・バイオバンク」と名付けられたこのプロジェクトでは、きのこのような形をしたサンゴ「マッシュルームコーラル」型の施設がグレートバリアリーフのあるポート・ダグラスに建設される予定だ。そこには、多目的ルームや研究室、水族館のような観光客向けアトラクションも設けられるという。 さらに、来場者は同施設に保管されている世界中のサンゴを見ることができるだけでなく、夜に成長する様子も目にすることができるかもしれない。すでに480万ドル(約5億235万円)の資金を確保しているという。 サンゴの採取は、11月からスタートする予定だ。最初のダイビングチームは、世界中から20種類の異なるサンゴを収集する。リビング・コーラル・バイオバンクのディレクターで海洋生物学者のディーン・ミラーは、ガーディアンに対し「2025年までにこの施設を完成させ、800種類のサンゴを集めたい」と語る。 また、クイーンズランド大学でサンゴの白化現象を研究しているオーヴェ・ホーグ=グルベルはガーディアンに対し、このバイオバンクのアイディアは「非常に価値がある」とコメントしている。だがその一方で、バイオバンクは持続可能な漁業など、従来の保護スキームと並行して進めていくべきだとも強調する。 2019年に「グレートバリアリーフ海洋公園局(GBRMPA)」は、全長2300kmにおよぶグレートバリアリーフの状況は「非常に悪化している」と発表。この報告書は5年ごとに公表されるものだが、前回の「悪い」から「非常に悪い」への引き下げとなった。 英「BBC」によると、グレートバリアリーフでは、海水温の上昇が原因で起きるサンゴの白化現象が2016年と2017年に進んだため、サンゴが死滅。新たなサンゴの数は89%も減少したという。 サンゴは水中の環境を整えたり、強い海流を和らげて「防波堤」の役割を果たしたりと、地球には欠かせないものだ。もしも現在あるサンゴが消滅してしまったとき、バイオバンクはそれを蘇らせるノアの箱船となれるのか。 この取り組みが、次世代への架け橋になることが期待されている。

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