「永い言い訳」で第71回毎日映画コンクールの監督賞を受賞した西川美和監督、4年ぶりの新作。佐木隆三の実録小説「身分帳」にインスパイアされた人間ドラマだ。
13年前に敵対組織のヤクザを日本刀で刺し殺した三上正夫(役所広司)が、罪を償って旭川刑務所を出所した。上京した三上は生活保護を申請し、下町でアパート暮らしを始めるが、職探しはままならない。一方、若きテレビマン津乃田(仲野太賀)は、幼少期に離別した母との再会を願う三上に接近し、彼を主人公にしたドキュメンタリー番組を撮ろうとするが……。
真人間になると誓ったアウトローが、塀の外のルールになじめず七転八倒していく。筋立ては古風だが、原案の小説を現代的に改作した映像世界はまったく古めかしくない。興味深いのは社会と個人の軋轢(あつれき)を描きながら、ことさら世間の冷たさを強調していないこと。むしろ三上の再出発を応援する弁護士夫妻(橋爪功、梶芽衣子)、スーパーの店長(六角精児)らはみんな善人。彼らの人情の温(ぬく)もりを嚙(か)みしめつ…
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