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Saturday, February 13, 2021

「絶滅動物を交配で再生」ナチス政権下のベルリン動物園が進めた危険な計画 - ニュース・コラム - Y!ファイナンス - Yahoo!ファイナンス

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■占領地の動物相や植物相を作り変えようとしていた

 彼は、こうして生まれた「復元動物」をいくつかの土地で野生化する実験をおこなった。そのひとつはベルリンの北に位置するショルフハイデであり、ここにはゲーリングの「カーリンハル」という邸宅があった。もうひとつはポーランドとベラルーシの国境にある原生林ビャウォヴィエジャである。ドイツ軍がポーランドを征服したのをいいことに、ナチ党員ルッツはオーロックスを放って自然にかえそうとしたのだった。

 もともと親衛隊トップのヒムラーは、ドイツから東にあるエリアを征服後、ドイツ的な村や町をつくり、さらにその風景を改造することを望んでいた。ルッツもこれに便乗するかたちで、占領地の動物相や植物相をつくりかえようとしたのである。

 また彼は、ドイツ軍の侵攻に乗じて東ヨーロッパの動物園を訪問し、貴重な生きものたちをドイツに移送するのにかかわった。この話は、戦時下のワルシャワ動物園をあつかったノンフィクション『ユダヤ人を救った動物園』(ダイアン・アッカーマン)にも登場する。

 そこでは、彼はワルシャワ動物園から希少動物を「保護」という名目で拝借してドイツへ送っただけでなく、残った飼育動物を親衛隊仲間に遊びで射殺させるような、恐るべき人物として描かれている。おそらくこういった行為が原因で、のちにソビエト連邦軍は彼の逮捕を試みたのだろう(Artinger 1994,Heck,Ludwig 1938,Heck,Lutz 1952,Klös 1969,Vuure 2005,溝井 2017)。

【参考文献】
Artinger,Kai.‘Lutz Heck:Der “Vater der Rominter Ure”: Einige Bemerkungen zum wissenschaftlichen Leiter des Berliner Zoos im Nationalsozialismus.’Der Bär von Berlin:Jahrbuch des Vereins für die Geschichte Berlins.
(1994):125‐138.
Heck,Ludwig.Heiter=ernste Lebensgeschichte:Erinnerungen eines alten Tiergärtners.
Berlin:Deutscher Verlag,1938.
Klös,Heinz‐Georg.Von der Menagerie zum Tierparadies:125 Jahre Zoo Berlin.
Berlin:Haude & Spenersche Verlagsbuchhandlung,1969.
Vuure,Cis van.Retracing the Aurochs:History,Morphology and Ecology of an Extinct Wild Ox.
Sofia‐Moscow:Pensoft Publishers,2005.
溝井裕一、細川裕史、齊藤公輔編『想起する帝国―ナチス・ドイツ「記憶」の文化史』勉誠出版、2017年。

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溝井 裕一(みぞい・ゆういち)
関西大学文学部教授
1979年兵庫県生まれ。関西大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。専門はひとと動物の関係史、西洋文化史、ドイツ民間伝承研究。『水族館の文化史――ひと・動物・モノがおりなす魔術的な世界』(2018年)で第40回サントリー学芸賞〈社会・風俗部門〉を受賞。他の著書に『ファウスト伝説――悪魔と魔法の西洋文化史』(09年)、『動物園の文化史――ひとと動物の5000年』(14年)、『グリムと民間伝承――東西民話研究の地平』(編著、13年)、『想起する帝国――ナチス・ドイツ「記憶」の文化史』(共編著、16年)などがある。
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