■連載/コウチワタルのMONO ZAKKA探訪
人は想像力豊かな動物である。目の前にあるものから直接知覚される情報に対し、過去の知識や経験を付け加えて独自の想像を膨らませることができる。今回紹介するアイテムは、そんな私たちの想像力をよりかき立てるアイテムたちである。なぜなら、どれも何かの物語の一部を切り取ってきたかのような姿をしており、否応が無しにその前後の文脈に想像せざるを得ないからである。
観察するふたりと野鳥の関係が気になる鳩時計『Birdwatching』
イタリアのブランド「Progetti」から発売されている鳩時計がちょっと面白い。一般的な鳩時計では鳩が出てくる部分と文字盤は1つの本体に集約されているものなのだが、この製品の場合は2つ分かれている。さらに、鳩ならぬ野鳥は大樹の中に隠れ、文字盤の上には双眼鏡で野鳥を観察するふたりの人物がいる、という野鳥観察の場面を切り取ったかのようなデザインとなっている。ふたりの人物がただの愛好家なのかそれとも専門家なのか(シルエットからはどうもふたりとも男性のようである)、野鳥はただの鳥なのか絶滅危惧種の鳥なのか…、など想像の尽きない鳩時計である。
カラーラインナップは2種類あり、1つは大樹が緑色のタイプ。もう1つは大樹が白く、おそらく冬の場面を表しているのではないかと想像される対応である。価格は482.90ユーロ(約64,000円)で「Progetti」のオンラインストアから購入することができる。
この後の展開が気になって仕方ない鳩時計『Strong cucù 2』
同じくイタリアのブランド「Progetti」から発売されているこちらの鳩時計も気になるデザインをしている。鳩の入ったボックスは右側にいる人物によって押し出されようとしており、このままいくと鳩ごとボックスは落下してしまう…かのような光景である。しかも、彼らが載ったボックスはまた別の人物によって押し出される危機に瀕しており、一方でボックスを押し出している人物もこのままでは上の白いボックスに押しつぶされてしまうので…と、幾重にも張り巡らされたストーリーを感じさせる鳩時計になっている。鳩はこの状況を理解した上でどっしりと構えていると考えることもでき、そのような見方をすると鳩の表情から落ち着きを感じてくる。製品の名前から察するとこの想像はあながち間違っていないのではないかと思っている。
真ん中のボックスがブルー、ブラック、イエローと異なる3バージョンが用意されており、価格は415.40ユーロ(約55,000円)。「Progetti」のオンラインストアから購入することができる。
一緒に子育てしている気分になるデスクオーガナイザー『Mother Nurture Desk Organizer』
こちらの製品はデスクの上で散らばりがちな小物を一か所に集めて整頓するためのオーガナイザーである。面白いのは巣における母鳥から小鳥への餌やりの光景をモチーフにしている点であり、それによりただ単に整頓する以上の楽しみが生まれる。例えばクリップや輪ゴムなど、オーガナイザーの中に入れたものはまるでそれらで小鳥たちの巣が作られているかのように見えるので、入れるもの次第で自分好みの巣を作ることができる。また、母鳥の口には輪ゴムなどを引っ掛けることができるようになっているので、アイテムを取り出しやすくするだけでなく、母鳥が小鳥に食べさせているものを私たちが選んであげている気分になる。ただ整頓するだけでなく、ストーリーの中に自分も入って楽しむことができる製品だ。
価格は28.99ドル(約3,100円)で「Animi Causa」のオンラインストアから購入することができる。
このネズミたちがどこかから来てどこへ向かうのか気になるランプ『Mouse Lamp』
イタリアのデザイナー Marcantonio氏によるテーブルランプもまたストーリーを感じさせるアイテムである。忠実に表現された細かい毛並みや、尻尾の先まで躍動感を感じさせるネズミの姿は今にも動き出しそうだ。電球を抱えることでランプスタンドの役割を担っている姿が可愛らしい。直立、直座、前傾の3つのポーズが用意されており、どのポーズの背景にもストーリーが存在するように感じてしまう。彼らは人の言葉を話すのか?そのこと1つとっても想像は膨らむし、人によってその解釈は違ってくるだろう。
価格は各タイプともに税込み16,500円。「Generate Design」のオンラインストアから購入することが可能だ。
私たちのすぐそばで別の世界は広がっている怖さも感じるランプ『Dome Land Lamps』
イタリアのデザイナー Leonardo Fortino氏がデザインしたランプシェードのデザインが興味深い。ランプシェードの半球の上に実に様々なモチーフが載せられている。例えば半球を舞台に見立てたタイプではその上でバレリーナが躍っているし、半球を果物のように見立てたタイプでは包丁が突き立てられている。その他にも宇宙飛行士がまさに降り立った光景であったり、ベンチに座って読書する人物、航行する大型船舶など、すべての種類を確認したくなるくらいどれもアイデアに溢れたデザインをしている。一方で、個人的にはちょっと怖さも感じさせるランプだと思っている。ランプシェードの上というのはランプを付けると逆光によりまず見えない部分である。そこに自分の知らない世界がいつの間にか広がっているかもしれない…と考えると自分の想像力に参ってしまいそうになる。こちらのランプはプロダクトデザインのみの公開となっており、市販はされていないようだ。
text/Wataru KOUCHI
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