飯島町に多く生息する絶滅危惧種のチョウ「ミヤマシジミ」を保全しようと、その生態を研究する東京大学大学院農学生命科学研究科博士課程3年の出戸(でと)秀典さん(27)が住民に参加を呼び掛け、協議会を立ち上げようと取り組みを始めた。19日夜に町生涯学習センターが町役場で開いた講演会で、出戸さんは研究成果と共に説明。「間違いなく町は日本最大の生息地で最後のとりで。自然共生の農業を営んできた証しで町の宝」と訴え、住民意識の高まりに期待した。
協議会は今年度中の発足を計画。実際の生息地管理から普及啓発、次代を担う子どもたちの環境教育まで、裾野の広い住民組織にする考え。
「守る方法が研究で分かったとしても、それを実際に担って守る人がいなければ保全することはできない。みんなで意識を共有していきたい」と出戸さん。町とも協力して、住民が主体性を持てるよう体制作りを進める方針だ。
出戸さんの所属する同研究科宮下直教授の研究室は、2016年から町内でミヤマシジミの調査を開始。2018年には研究科、町、JA上伊那の3者で保全に向けた相互連携協定を締結した。
今年4月には協定を更新。新たに活動指針「アクションプラン」を設け、ミヤマシジミが町の宝となるよう保護区の設定やボランティアの育成などを推進し、自然共生のモデルタウンを目指すことを確認している。
1年の半年は町内に滞在し、ミヤマシジミを調査するようになって4年目を迎えた出戸さん。この日の講演会は「ミヤマシジミの価値と保護活動について」と題し、ミヤマシジミを取り巻く生態系など研究で分かってきたことを報告した。
餌となるマメ科植物のコマツナギや共生関係にあるアリ、天敵のハエなどの存在に触れて、生息地となる農地の草刈りが保全に影響を及ぼす可能性を説明。長期的なモニタリングの必要性や、絶滅したエリアで再び生息させる「再導入」の開発を研究課題に挙げると共に、保全には住民の意識高揚が欠かせないと指摘した。
講演会にオンラインで参加した宮下教授も「これだけの生息地は日本にはない。絶滅しないよう増やすことも重要になる」と話した。
協議会に関する問い合わせは町農政係(電話0265・86・3111)へ。
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