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Thursday, November 4, 2021

第12世代Coreの最上位CPU「Core i9-12900K」レビュー。Alder Lake-Sはゲーム性能でRyzen 9 5950Xを上回れたのか? - 4Gamer.net

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 2021年11月4日,IntelのデスクトップPC向け第12世代Coreプロセッサ(開発コードネーム Alder Lake-S)が発売となった。PC向けのCPUとしては初めて,高性能CPUコア(P-Core)と省電力CPUコア(E-Core)という2種類のCPUコアを搭載する「Hybrid Architecture」を採用するなど,PCの世界に大きな変化をもたらす可能性をもつ製品といえる。

 本稿では第12世代Coreプロセッサの中から最上位製品となる「Core i9-12900K」(以下,i9-12900K)の性能をチェックしていく。i9-12900Kは,第12世代Coreプロセッサのフル実装版であり,8基のP-Coreと8基のE-Coreを集積して24スレッドに対応しつつ,クロック倍率をアンロックしたモデルである。
 Intelは,第12世代Coreプロセッサのことを「World's Best Gaming Processor」(世界最強のゲーマー向けCPU)と謳っているので,4Gamer読者としても性能は気になるところ。競合製品と横並びで実力を比較したい。

LGA1700ソケットやDDR5メモリなど新要素盛りだくさん


 第12世代Coreプロセッサの機能や特徴,製品ラインナップについては,すでに報じているので,本稿ではもう少しユーザーよりの情報をまとめておきたい。
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 Intelが開催したオンラインイベントで,2021年秋に投入予定の次世代CPU「Alder Lake」の概要が明らかになった。高性能重視と,低消費電力での性能を重視した異なる種類のCPUコアを組み合わせることで,PC向けCPUに大きな変革をもたらすプロセッサだ。その概要をレポートしよう。

[2021/08/27 18:00]
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Intel,Alder Lake-Sこと第12世代Coreプロセッサを正式発表。Ryzen 9最上位モデルをしのぐ高性能をアピール

 北米時間2021年10月27日,Intelは,開発者向けオンラインイベント「Intel InnovatiON」を開催し,デスクトップPC向けの第12世代Coreプロセッサ(Alder Lake-S)を正式発表した。最上位製品となる「Core i9-12900K」は,高性能コア8基+高効率コア8基による16コア24スレッド対応となっている。

[2021/10/28 01:00]

 まず,第12世代Coreプロセッサでは,新たに「LGA1700」というCPUパッケージとソケットが導入される。既存のLGA1200から500ピンもピン数が増えているだけに,ソケットの大きさや形状,そしてもちろんCPUの形状も,LGA1200やLGA1151世代に比べて変わっている。
 LGA1200までのCPUは,どちらかというと正方形に近い縦横比だったが,LGA1700は写真のとおり長方形になった。写真だと少し分かりづらいが,ヒートスプレッダもやや分厚くなっている。
i9-12900Kの表(左)と裏(右)。CPUはやや縦長になり,ヒートスプレッダもやや分厚くなった
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 本稿を執筆している時点では,IntelからLGA1700の物理形状のデータシートや,デザインガイドが一般公開されていないので正確な寸法は分からないが,形状,厚さともに変わっているのは確かだ。
ROG MAXIMUS Z690 HEROのLGA1200ソケット。ソケットそのものの扱いは,LGA1200とさほど変わりはない。注意が必要なのはクーラーの取り付け孔だ
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 ただ,LGA(Land Grid Array)である点は従来のIntel製デスクトップPC向けCPUと変わらないので,ソケットの扱い方も,LGA1200などとあまり変わらない。CPUのベース基板に切り欠きがあって,特定方向でしかソケットにCPUを取り付けられない仕組みなので,よほどのことがない限り,取り付けを誤って壊すということもないだろう。
 ソケットの写真は,本稿のテストのために試用したASUSTeK Computer製のマザーボード「ROG MAXIMUS Z690 HERO」(製品情報ページ)のものだ。ソケット自体は写真のとおり,縦長になったLGAソケットといったところで,CPUを載せて金具とノブで固定するという扱いも,従来どおりである。

 注意が必要なのは,クーラーの取り付け孔だ。ソケットの大きさが変わったこともあり,クーラーの取り付け孔の寸法がLGA1200までと異なるのだ。ただ,筆者が試用したROG MAXIMUS Z690 HEROには,LGA1200までと互換性がある取り付け孔が用意されていた。そのため,ROG MAXIMUS Z690 HEROではLGA1200対応クーラーのベースプレートなどを流用できる。
 ROG MAXIMUS Z690 HERO以外のマザーボードで,取り付け孔がどうなるのかは,メーカーや製品により異なるかもしれない。また,LGA1200互換の取り付け孔があったとしても,CPUの高さなどがわずかに変わっているので,CPUクーラーはLGA1700対応のものを選ぶことが必要だ。第12世代Coreプロセッサを導入するのなら,LGA1700対応のCPUクーラーを新たに購入するか,手持ちのCPUクーラーをLGA1700に対応させるマウントキットを入手する必要がある。

※Thermal TakeやCorsair,Cooler MasterなどCPUクーラーメーカー各社が,LGA1700対応のアップグレードキットを無償提供している。関連記事1関連記事2

 第12世代Coreプロセッサとともに新しい要素として登場するのが,DDR5 SDRAMを採用したDDR5メモリモジュールである。今回試用したROG MAXIMUS Z690 HEROも,DDR5メモリモジュールに対応するマザーボードだ。ただ,第12世代Coreプロセッサのメモリコントローラは,既存のDDR4メモリにも対応しているので,DDR4対応のLGA1700マザーボードを用意すれば,DDR4メモリを流用することは可能である。

 DDR5 SDRAMはDDR4 SDRAM比で2倍のメモリ帯域幅を実現したメモリである。技術的な観点からは,メモリモジュール上に電圧レギュレータが乗っていたり,メモリバスにレジスタバッファが載っているいわゆる「Registeredメモリ」であるなど,これまでのDDR4メモリとは異なる点が多くあるが,ユーザー視点で見ると,メモリモジュール自体はDDR4のそれと大きく変わるものではない。

T-FORCE DELTA RGB DDR5
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 今回のテストに使用したのは,Team Group製のDDR5メモリモジュール「T-FORCE DELTA RGB DDR5」(型番 FF3D516G6000HC40ABK,関連リンク)だ。切り欠きの位置がDDR4メモリモジュールとは異なるので,誤って取り付けることはできないようになっている。
試用したTeam Group製DDR5メモリモジュール「T-FORCE DELTA RGB DDR5」。DDR5-6000対応の16GB×2枚組で,ヒートシンク上部にカラーLEDイルミネーションが組み込まれている
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 T-FORCE DELTA RGB DDR5はDDR5-6000対応のPC5-48000メモリモジュールで,メモリアクセスタイミングは「40-40-40-80」である。「レイテンシ大きすぎ!」と思うかもしれないが,タイミングの単位は「T」(Transfer)なので,実質的なレイテンシの大きさは,DDR4-3000における20-20-20-40と同等だ。帯域幅が2倍になると,相対的にレイテンシが2倍になるというのは,DDR系メモリの宿命のようなものだろう。
 DDR4世代がそうであったように,今後,DDR5メモリもより低レイテンシのメモリが開発されるだろうと思うが,数字の上でDDR4メモリのレイテンシより小さくなることはないだろう。

 なおIntelは,DDR5メモリモジュールの採用に合わせて,拡張メモリプロファイルとして「XMP 3.0」を策定している。Intelによると,XMP 3.0ではDDR5メモリに関する詳細なアクセスタイミングなどの情報が盛り込めるほか,ベンダー設定のプロファイルを最大3種類に加えて,ユーザーが保存できるプロファイル2種類を追加できるという。DDR4メモリに使用されていた「XMP 2.0」では,ベンダー設定のプロファイルが最大2つまでだったので,ベンダー設定×1とユーザープロファイル2つが追加になったわけだ。
 ユーザーがチューニングしたメモリクロックやアクセスタイミングの情報をメモリモジュールのXMPに保存できるので,マザーボード変更時に設定の流用が容易になるなどの利点がある。

XMP 3.0と従来のXMP 1.0/2.0との違いを示したスライド。DDR5メモリモジュールは,レギュレータがモジュール側にあるのでXMPに電圧の情報が保存されている
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 ちなみに,今回試用したT-FORCE DELTA RGB DDR5は,XMP 3.0対応で3種類のベンダー設定プロファイルが書き込まれていることが確認できた。ただ,ユーザー設定プロファイルは書き込みに専用ツールが必要で,本稿を執筆している時点ではツールが提供されていなかったので試せていない。
 Intelによると,XMP 3.0の設定ツールはメモリモジュールメーカーが提供するそうなので,興味がある読者はメーカーのWebサイトをチェックしてみるといい。

第11世代Coreの最上位モデルやRyzen 9の2製品と比較


CPU-Zで確認したi9-12900Kの主な仕様。コア数を示すCoresが8+8,つまりP-Core×8+E-Core×8になっている
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 前置きはこれくらいにして,i9-12900Kのテストに進むとしよう。
 i9-12900Kの性能を検証するにあたり,比較対象としてはまず,第11世代Coreプロセッサの最上位モデル「Core i9-11900K」(以下,i9-11900K)を用意した。CPUコアに「Cypress Cove」×8基を採用する倍率アンロックモデルである。

 また,競合製品にあたるAMDのCPUから,16コア32スレッド対応CPU「Ryzen 9 5950X」(以下,R9 5950X)と12コア24スレッド対応CPU「Ryzen 9 5900X」(以下,R9 5900X)を比較対象に用意した。R9 5900Xは実行可能なスレッド数がi9-12900Kと同じであることや,ゲーム性能がR9 5950Xより高い場合があるので比較対象に選んだ次第だ。テストに用いたCPUの主な仕様は表1のとおり。

※1 Core i9-12900KはP-coreの値
※2 Intel製CPUはPL1の値
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 Intel製CPUをテストする場合,Power Limitの問題がついてまわるのだが,第12世代Coreプロセッサの末尾「K」モデルでは,「PL1」(Power Limit 1)と「PL2」(Power Limit 2)がともに241Wという設定が標準であるとIntelは説明している。
 少しおさらいしておくと,Intel製CPUにおけるPL1は,通常動作時の消費電力上限,PL2は,温度や電源に余力がある場合のブースト動作時における消費電力上限である。CPUの温度や電源に余裕があるときは,PL2まで消費電力を引き上げて高クロック動作を行う。そして,UEFIに設定されているタイマーの時間が経過するか,CPU温度などが条件を満たさなくなると,PL1の消費電力に収まるように動作クロックやコア電圧を落とす仕組みである。

 これまでのマザーボードでは,PL1にTDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)相当の上限値を設定して,PL2にTDPを超える上限値を設定するのが常識だった。だが,第12世代Coreプロセッサの末尾Kモデルは,PL1=PL2=241Wという常識はずれというか,開き直りとも言えるような設定が標準になっているわけである。
 なお,先回りになってしまうが,i9-12900Kは複数のCPUコアに負荷をかけると,瞬時にチップの温度が最大ジャンクション温度(Tjmax)に達して,そこからサーマルスロットリングによって動作クロックや電圧を抑えつつ,最大ジャンクション温度以下になるよう動作し続けるという,常識はずれの振る舞いをするCPUだ。
 本来なら温度の上昇を抑えるはずのPower Limitが,末尾Kモデルでは事実上,外されているようなもの。当然ながら241Wを延々と制限なしに消費し続ければ,CPUが壊れてしまいかねない。そこで,Power Limitに代わる調整機構としてサーマルスロットリングが使われていると考えればいい。サーマルスロットリングの発動=冷却不足という従来の常識から外れるが,末尾Kモデルにおいては,その常識を変える必要があるのだ。

 というわけで,i9-12900K搭載PCにおいては,冷却システムが極めて重要になってくる。冷却システムの冷却性能によって,CPU性能が大きく左右される可能性が高いからだ。
 4GamerのCPUレビューでは,これまで,Corsair製の簡易液冷クーラー「Hydro Series H150i PRO RGB」をリファレンスとして使用してきた。だが,テスト時点では,本製品向けにLGA1700対応キットが提供されるかどうかは明らかとなっていない。そのため今回は,マザーボードと合わせてASUSTeK Computerから借用した簡易液冷クーラー「ROG RYUJIN II 360」(製品情報ページ)を使用している。

ROG RYUJIN II 360
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 ROG RYUJIN II 360は,360mmサイズのラジエータに3基の12cmファンを備えた大型の簡易液冷クーラーだ。製品ボックスには,LGA1700とLGA1200,Socket AM4のそれぞれに対応するマウントブラケットが付属していた。なので今回は,比較対象のCPUを含めたすべてのプラットフォームで,ROG RYUJIN II 360を使用している。なお,ファンおよびポンプの設定は,ROG RYUJIN II 360の設定ツールで「ターボ」プリセットを選択した。
ASUS製の汎用設定ツール「Armoury Crate」で,ROG RYUJIN II 360に「ターボ」プリセットを設定。60℃を超えた場合,ポンプとファンをアグレッシブに回す設定だ。ちなみに,常時最大にしてしまうと,かなりの騒音が出たので今回はターボ設定とした
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 i9-12900Kのメモリモジュールには,前出のとおりT-FORCE DELTA RGB DDR5を使用している。i9-12900Kの定格はDDR5-4800なので,今回は定格の設定に加えて,メモリモジュールの上限であるDDR5-6000設定のテストも行った。
 さらに,Intelは末尾Kモデルにおいて,多彩なオーバークロック設定が可能なこともアピールしている。
第12世代Coreプロセッサの末尾Kモデルにおいて,調節可能なオーバークロック項目を示したスライド。P-CoreとE-Coreそれぞれのクロック上限を設定可能になっている
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XTUのSpeed Optimizerを使ってP-Coreの全コアターボ時のクロックを5.0GHzに引き上げた
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 第12世代Coreプロセッサにおけるオーバークロック設定は,Intel製のオーバークロックツール「Extreme Tuning Utility 7.5」(以降,XTU 7.5)で対応しており,すでに公開済みだ。
 もっとも,安定的にゲームやベンチマークが回るオーバークロック設定を手作業で詰めていくのは極めて大変な作業だ。時間的な都合もあるので,本稿では,「Speed Optimizer」という1クリックで設定できるXTU 7.5の簡易オーバークロック機能を試してみた。P-CoreすべてにおけるTurbo Boost時の最大クロックは,標準状態で4.9GHzであるが,Speed Optimizerを使うと5GHzまで引き上げられたので,これをオーバークロック状態としてテストする。
 これらを踏まえて,本稿のテスト部分では以下のように表記していく。
  • i9-12900K(6000+OC):DDR5-6000,オーバークロック状態
  • i9-12900K(6000):DDR5-6000
  • i9-12900K(4800):DDR5-4800

 使用するマザーボードは,先述したROG MAXIMUS Z690 HEROである。ゲーマー向け製品ブランド「Republic of Gamers」で展開されているマザーボードのうち,上位のラインアップに与えられる「MAXIMUS」を冠する製品だ。
ROG MAXIMUS Z690 HERO
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 ちなみに,これまでのMAXIMUSシリーズは,「MAXIMUS XIII」という具合にモデル名にローマ数字が使われてきたが,世代が進んで分かりにくくなってきたためか,第12世代Coreプロセッサ向け製品から,チップセット名が使われるようになった。どの世代向けのマザーボードかが製品名から即座に分かるので,ユーザーとしても歓迎できる変更であろうか。
 「HERO」の名を持つ製品は,MAXIMUSシリーズでは比較的ベーシックなモデルに位置づけられる。高付加価値な機能は抑えつつ,MAXIMUSシリーズ共通の強力な電源部や頑強なスロット類を採用した信頼性が高いマザーボードといっていいだろう。

 このほかに使用した機材は,表2にまとめておく。注意点としては,今回,OSにはWindows 11を採用したことが挙げられる。これは,第12世代Coreプロセッサに組み込まれて,P-CoreとE-Coreの使い分けを最適化する「Thread Director」に対応するスケジューラが,Windows 11に組み込まれているためだ。第12世代Coreプロセッサの実力を発揮させるには,現状ではWindows 11が必須になると言うわけだ(※LinuxとGoogle Chrome OSも対応の予定)。

※クリックすると詳細版を表示します
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 なお,Windows 11には,Ryzen系CPUの性能を十分に発揮できない不具合と,Ryzen系CPUのスレッドスケジューリングに冠する不具合があった。これらの問題は,Windows 11リリース後に配布されたアップデート「KB5006746」と,AMDが配布した「AMD Chipset Driver 3.10.08.506」を適用することで解消したということだ。今回のテストも,これらのアップデートを適用した状態で実施しているので,Ryzen系を含めて公平なテストができているはずである。

 また,Ryzen系およびi9-11900Kでは,DDR4-3600対応メモリモジュールを使用して,メモリ設定もDDR4-3600で統一した。オーバークロックになってしまうが,DDR4メモリもこなれてきていて,高クロックかつ低レイテンシのモジュールが入手しやすくなっているので,それを比較対象にするのは理にかなっているだろうという判断だ。

 実行するテストは,4Gamerベンチマークレギュレーション24.0に準拠する。ただ,レギュレーション25.0世代を先取りする形で「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ」の代わりに「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ」(以降,FFXVI暁月のフィナーレ ベンチ)を使用した。実ゲームのテストにおけるグラフィックス解像度は,3840×2160ドット,2560×1440ドット,1920×1080ドットの3パターンだ。

 そのほかに,今回は第12世代Coreプロセッサの新要素であるHybrid Architectureや,DDR5メモリの性能も見るために,レギュレーション24.0のベンチマークに加えて,CPUの基礎性能を見るユーティリティ「AIDA64」(version 650)でもテストを実行している。

i9-12900KのCPU性能は高いが総合性能はRyzen勢と互角


 なお,グラフ内では「i9-」を省略していることを断ったうえで,定番のグラフィックスベンチマークである「3DMark」(version 2.20.7274)からテスト結果を見ていこう。DirectX 11テストである「Fire Strike」の総合スコアをまとめたのがグラフ1だ。
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 4K解像度相当のFire Strike Ultraは,ほとんど横並びだが,2560×1440ドット相当のFire Strike Extremeでは,若干のばらつきが見られる。大雑把にRyzen勢が21000台,ついでi9-12900K勢が20800台で続く。描画負荷が低いフルHD相当のFire Strikeになると,CPUによるスコア差がよりはっきりした。トップはR9 5950Xで,ついでi9-12900K(6000+OC),同(6000)と続いている。i9-12900Kのスコアは,前世代のi9-11900Kに比べると圧倒的ではあるが,R9 5950Xをわずかに上回れなかったという結果だ。どうしてこうなったのかを個別スコアで見ていくことにしよう。

 グラフ2はFire StrikeのGPUテストである「Graphics test」のスコアだ。

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 Fire Strike Ultraは横並び,続くFire Strike Extremeもほとんど横並びだが,Ryzen勢がほんのわずかに高いスコアを残している。そして,フルHD解像度相当のFire StrikeではR9 5900Xがトップとなり,ついでR9 5950X,i9-12900K(6000+OC)という順序になった。
 Graphics testはGPU性能を見るテストなので,スコアに対するCPUの影響は小さい。ただCPU性能が無縁というわけでもなく,GPUに対するコマンド発行の効率とか,CPUが関与するデータ転送の違いといったものがスコア差に現れる可能性がある。結果から見るとR9 5900XやR9 5950Xはその点が優秀で,i9-12900Kはやや及ばないという見方ができるかと思う。

 次はFire StrikeのCPU性能テストとなる「Physics test」のスコア(グラフ3)を見てみよう。Fire Strikeの3つのテストで同じ内容を実行する。

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 このテストにおけるトップはi9-12900K(6000+OC)で,ついでi9-12900K(6000),i9-12900K(4800)と,i9-12900Kが上位を制した。16コア32スレッドのR9 5950Xは,Physics testにおいて圧倒的な強さを見せてきたが,ついに第12世代Coreプロセッサが有意に逆転したわけだ。24スレッド実行のi9-12900Kが,32スレッド実行のR9 5950Xを上回ったということは,P-Coreの高性能が垣間見える結果と言っていい。

 グラフ4は,Fire StrikeでGPUとCPU両方に負荷をかけたときの性能を見る「Combined test」の結果だ

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 Fire Strike Ultraは,例によってほとんど横並びだが,Fire Strike ExtremeとFire Strikeは,総合スコアを極端にしたようなスコアになっている。とくにFire Strikeにおいては,R9 5950Xが毎度のことながら他を圧倒するスコアを叩き出し,i9-12900Kですら足元にも及ばない。

 以上をまとめると,Ryzen勢はGraphics testとCombined testで強いものの,CPU性能を見るPhysics testでは,i9-12900KがRyzen勢を上回るスコアを記録した。3DMarkではグラフィックス性能の比重が高いので,総合スコアではRyzen勢がわずかにi9-12900Kを上回るスコアになったわけだ。

 続いては,3DMarkのDirectX 12テストである「Time Spy」を見ていこう。グラフ5が,Time Spyの総合スコアである。

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 描画負荷が高いTime Spy Extremeでは,i9-11900KとR9 5900Xがやや低いのを除くと,おおむね横並びだが,Time Spyではi9-12900KがRyzen勢を上回る結果を残している。Fire Strikeとはやや異なる結果だ。

 グラフ6はTime SpyのGPUテストとなる「Graphics test」のスコアとなる。

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 ほとんど横並びといっていいが,Fire StrikeのGraphics testとは異なり,Ryzen勢が有意に高いと言うほどではない点は,注目していいだろう。

 一方,Time Spyにおける「CPU test」をまとめたグラフ7はかなりのばらつきが見られる。

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 処理負荷が高いTime Spy Extremeでは,i9-12900Kの3パターンとR9 5950Xがほぼ横並びといっていい。一方,Time Spyでは,i9-12900Kの3パターンがR9 5950Xを圧倒するスコアを残している。i9-12900Kのうち,i9-12900K(6000+OC)がi9-12900K(6000)より低いスコアを残したことは納得できないかもしれないが,先述したように,i9-12900Kはサーマルスロットリングによって性能が抑えられるCPUなので,オーバークロックが必ずしも高スコアにはつながらない。この傾向は,以降でも頻繁に見られるので,その点はここで覚えておいてほしい。

 3DMarkの結果を見てきたが,i9-12900Kの純粋なCPU性能は,R9 5950Xをも上回る可能性があると言えよう。ただ,グラフィックスを含めた総合性能になると,i9-12900KがRyzen勢を有意に上回われたわけではなく,ほぼ互角と見ていいのではないだろうか。よって,実ゲームにおける性能が重要ということになりそうだ。

 では,実ゲームの性能を「Watch Dogs Legion」から見ていくことにしよう。グラフ8〜10はグラフィックス品質「高」設定の結果である。


 3840×2160ドットの平均フレームレートは,1.5fps前後の差で並んでいるので横並びと見ていいだろう。2560×1440ドットもおおむね横並びだが,Ryzen勢よりはi9ー12900Kがわずかに高い平均フレームレートを残している。なお,R9 5950Xは最小フレームレートが有意に低い。ただ,Watch Dogs Legionの最小フレームレートはかなりばらつくので,意味があるかどうかはなんとも言えない。
 有意な差が出たのは1920×1080ドットの結果で,平均フレームレートはi9ー12900K(6000+OC)と同(6000)がトップ,ついでi9ー12900K(4800)が続いている。Watch Dogs Legionは,Intel勢が好スコアを残す傾向にあるゲームだが,その中でもi9ー12900Kは,やや高い平均フレームレートを発揮すると言えるかと思う。

 続いて,バイオハザード RE:3の高負荷設定におけるフレームレートをグラフ11〜13にまとめた。


 バイオハザード RE:3の傾向は,Watch Dogs Legionに近く,とくに1920×1080ドットではRyzen勢よりi9ー12900Kが有意に高い平均フレームレートを記録している。CPU差が出やすい1920×1080ドットに注目すると,i9ー12900K(6000),同(4800),同(6000+OC)の順となったが,オーバークロック設定は,おそらく熱的な問題が発生しているのだろう。

 Call of Duty: Warzone(以下,CoD Warzone)の高負荷設定におけるフレームレートをまとめたのがグラフ14〜16だ。


 描画負荷が高い3840×2160ドットでは,ほとんど横並びだが,強いて言うならi9ー12900K(6000)が,ほかよりやや高い平均フレームレートを記録した。2560×1440ドットもほとんど横並びだが,i9ー12900K(6000+OC)や同(6000),R9 5900Xがやや高めの平均フレームレートを記録している。1920×1080ドットでも,あまり大きな差はついていないが,ここでもi9ー12900K(6000+OC)が,ほかよりやや高い結果を残した。
 CoD Warzoneにおいては,i9ー12900Kが他より若干有利なようだが,他と大きな差はつかなかったとまとめていいだろう。

 ここまでとまったく異なる結果になったのが,Fortniteである。グラフ17〜19がその結果だ。


 Fortniteでは,いずれの解像度でもRyzen勢がIntel勢より有意に高い平均フレームレートを記録している。とくに,1920×1080ドットでは平均10フレーム以上の差がついているので無視できない。
 何が起きているのか疑問を感じたので,計測ツールの「CapframeX」と「RivaTuner Statics Server」を組み合わせて,i9ー12900Kが有するCPUコア12基のクロック変動をオーバーレイ表示させてみたところ,Fortniteでは2〜3程度のスレッドがE-Coreに割り振られていることが確認できた。もしかすると,E-Coreに割り当てられたスレッドのせいで,フレームレートが抑えられてしまったのかもしれない。
画像集#036のサムネイル/第12世代Coreの最上位CPU「Core i9-12900K」レビュー。Alder Lake-Sはゲーム性能でRyzen 9 5950Xを上回れたのか?
 Intelは,Thread DirectorとWindows 11のスケジューラの組み合わせによって,重要なスレッドがP-Coreに割り当てられるかのように説明しているが,注意が必要なのは,OSのスケジューラやThread Directorは,実行中のスレッドが何を行っているか,その内容を必ず正確に把握できるわけではない点だ。スレッドが何を行っているかを知っているのは,プログラムを書いたプログラマだけなのである。
 Thread DirectorやOSのスケジューラは,CPU時間を消費しているスレッドをP-Coreに優先的に割り当てる。Fortniteがそうだというわけではなく単なる例なので注意してほしいが,たとえば描画スレッドとは独立したゲームロジックのスレッドが極めて重く,CPU時間を使っているとすると,描画スレッドよりゲームロジックのスレッドがP-Coreに割り当て当てられるだろう。こうしたケースでは描画スレッドがE-Coreに回される可能性が高くなり,フレームレートが低下する可能性はある。
 重いゲームロジックがP-Coreに割り当て当てられることで,ゲーム全体を見ればより快適になるが,フレームレートは上がらないという結果もあり得るのではないだろうか。Fortniteのように,低解像度での描画が軽いゲームでは,そうした現象が起こりえる。断言できるわけではないので注意してほしいのだが,ゲーマーは頭に入れておいてもいい点だと思う。

 もっとも,Intelは,第12世代Coreプロセッサに対してゲームの最適化を強力に推進すると宣言しており,11月中にも第12世代Coreプロセッサに最適化されたゲームが次々と登場するとアピールしていた。そのため,Fortniteで確認したような現象は,今後,なくなっていく可能性がある。

 次のグラフ20〜22はBorderlands 3の「ウルトラ」設定をまとめたものだ。


 描画負荷が高い3840×2160ドットと2560×1440ドットは,横並びとまとめてしまっていいだろう。1920×1080ドットも差は明確でないが,強いて言うならi9-12900K(6000)とi9-12900K(6000+OC)が,ほかよりわずかに高い平均フレームレートを記録している。ただ,差は極めて小さく横並びといってもいいくらいだ。

 FFXIV暁月のフィナーレ ベンチの総合スコアをまとめたものがグラフ23である。

画像集#040のサムネイル/第12世代Coreの最上位CPU「Core i9-12900K」レビュー。Alder Lake-Sはゲーム性能でRyzen 9 5950Xを上回れたのか?

 3840×2160ドットの差はわずかだが,2560×1440ドットと1920×1080ドットではi9-12900K(6000+OC)とi9-12900K(6000)が,他よりも頭ひとつ高いスコアを記録している。FFXIV系ベンチマークの,とくに低解像度では,Ryzen 5000シリーズがIntel勢を抑えて好スコアを残してきたので,ひさしぶりに逆転という見方はできると思う。
 また,FFXIV暁月のフィナーレ ベンチではDDR5-6000設定の効果も有意に見られるのが特徴だろう。ただ,オーバークロック設定に関しては相変わらず微妙といったところだ。

 グラフ24〜26に,FFXIV漆黒のヴィランズ ベンチマークにおける平均および最小フレームレートをまとめている。おおむね総合スコアどおりで,Ryzen勢の最小フレームレートがやや低めに出るのも従来のFFXIV系ベンチマークに見られた特徴だ。


 実ゲームの最後に,Project CARS 3のフレームレートをまとめておこう(グラフ27〜29)。
 Project CARS 3では,いずれの解像度もi9-12900Kがやや高めのフレームレートを記録している。とくに,CPU性能差が出やすい1920×1080ドットでは,i9-12900KがRyzen勢に対して平均10フレーム前後の差をつけている。また,i9-12900K(6000+OC),同(6000),同(4800)の順できれいに並んでいるのも目を引くところだ。

 以上,実ゲームの結果を見てきた。Fortniteのような例外は見られたものの,i9-12900Kが史上最高のゲーマー向けCPUであるというIntelの主張は,今回のテストで裏付けられたと言っていいだろう。前世代のi9-11900Kからは多くのタイトルでフレームーとの向上が見られているので,その点は評価すべきだろう。
 また,ほとんどのタイトルでDDR5-6000設定の効果が見られるのもポイントだ。むしろスコア全体を見ると,既存のCPUに対してi9-12900Kが有意な差を見せるためには,DDR5-6000設定が事実上必須と言えるかもしれない。定格のDDR5-4800設定だと,競合CPUとの性能差はあまりない印象になってしまうからだ。
 一方,オーバークロック設定については微妙なところ。有意に効果が見られるタイトルがある一方で,効果がはっきりしないタイトルも多かったので,消費電力次第では,ゲームにおいてオーバークロック設定をするメリットはないという評価に落ち着くかもしれない。

 競合のRyzen勢に対しても,i9-12900Kはほとんどのゲームで高フレームレートを記録した。ただ,その差は大きなものではないので,ゲーム以外の用途における性能次第で製品の評価も変わるだろう。

リアルタイムゲーム録画では,R9 5950Xと同等の性能を発揮


テストに用いたOBS Studioの録画設定
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 ゲームテストに続いては,レギュレーション24.0に順じたOBS Studio(version 27.1.3)によるリアルタイムのゲーム録画のテストを行った。今回は,ソフトウェアエンコーダー「x264」の画質パラメータから,「CRF」を調節して高画質よりの「18」に変更することにより,i9-11900KやR9 5900Xではやや重めになる解像度1920×1080ドットの画質設定を採用した。描画プリセットは「medium」である。
 その結果を以下に動画で示そう。
 先述のとおり,12コア24スレッドのR9 5900Xや前世代のi9-11900Kでは,若干のフレーム落ちが見られており,スムーズとは言いにくい録画結果となった。一方,R9 5950Xとi9-12900Kは,同程度にスムーズな録画が行えた。i9-12900Kの3パターン間には,あまり差がないようだ。

 ただ,左上に表示されている録画中におけるフレームレートの低下具合は,R9 5950Xがもっとも少なく,若干だがi9-12900Kのほうがフレームレートの低下幅は大きいようだ。
 本来ならソフトウェアエンコーダによるリアルタイム録画は,ゲームの描画スレッドをP-coreに,録画スレッドはE-coreに割り当てるように動くはずである。これは推測だが,今回はそれがうまくいっておらず,重い録画スレッドがP-Coreに,ゲームの描画スレッドがE-Coreに割り当てられる頻度が高くなってしまっているのではないか。そのためフレームレートが抑え気味になり,R9 5950Xのほうが低下が少ないという結果になったとも考えられる。
 とはいえ,16コア32スレッドのR9 5950Xと同等のソフトウェアによる録画が,24スレッド実行のi9-12900Kで行えるというのは,高く評価できるだろう。リアルタイム録画のような処理では,P-CoreとE-Coreの使い分けが比較的うまく機能すると考えられるので,ゲーム録画のような作業には向いているCPUではないかと思う。

AIDA64はまだら模様の結果に


 CPU性能を詳細に調べるため,今回,追加で採用したAIDA64の結果を,レギュレーション24のCPU性能検証を進める前に見ておこう。

 まずグラフ30は,AIDA64のベンチマークからメインメモリ帯域幅のテスト結果をまとめたものだ。DDR4メモリに対して2倍の帯域を持つDDR5メモリを採用しているだけに,i9-12900Kはメモリリード(メモリ読み出し),メモリライト(メモリ書き込み),メモリコピーの3テストで,順当に高い帯域幅を有することが確認できた。

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 前世代と比較すると,i9-12900K(6000+OC)および同(6000)のスコアは,i9-11900Kに対して1.5〜1.7倍程度,i9-12900K(4800)のスコアは同1.2〜1.3倍といった範囲になっている。
 今回のi9-11900Kでは,DDR4-3600のメモリ設定を採用しているので,カタログ値的にはDDR5-6000が1.67倍,DDR5-4800は1.33倍となる。CPUやメモリのコマンドオーバーヘッドなどを考慮すると,メインメモリ帯域幅のテストは,カタログ値どおりの結果と言えよう。

 グラフ31は,メモリレイテンシの結果をまとめたものだ。

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 先述したとおり,今回使用したDDR5メモリのメモリアクセスタイミングは,40-40-40-80である。一方,DDR4メモリのアクセスタイミングは14-14-14-34なので,i9-11900Kとi9-12900Kのメモリレイテンシにおける差は,メモリクロックとタイミングから推測できる比率とおおむね同程度だ。つまり,理屈どおりの結果が得られているように思う。
 なお,同じDDR4メモリを同じ設定で使っているRyzen勢のレイテンシがi9-11900Kに比べると大きいが,これは従来どおりの結果であり,Ryzenのメモリコントローラの特性によるものと考えていい。とくに問題が起きているわけではない。

 グラフ32,33は,AIDA64のベンチマークから整数演算系のテスト結果をまとめたものだ。

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 テストのうち,暗号化処理を行う「CPU AES」は,Intelの「AES-NI」命令や「SHA」命令のようなアクセラレーションを使用するとのこと。一方,AIDA64にドキュメントがないのだが,一般的に新しいアルゴリズムでハッシュを計算する「SHA3」は,AES NIなどの恩恵を若干受けるものの,CPU AESほどのアクセラレーション効果は得られない。

 結果を見ていくと,CPU AESは,R9 5950XとR9 5900Xが極めて優秀なスコアを記録している。これは,Ryzen系に組み込まれているAESのアクセラレーションが優秀だからと見ていいだろう。SHA3でもR9 5950Xが優秀なスコアを残すのも,おそらくは同じ理由からだ。
 一方,i9-12900KのCPU AESおよびSHA3の結果を見ると,Ryzen勢はもちろん,前世代のi9-11900Kのスコアにも及んでいない。i9-12900KはAES NIをサポートしているので,これは奇妙な結果だが,E-Coreでも演算処理を行っているからかもしれない。E-Coreの計算が終わるのを待つ状況が発生するのなら,AESやSHA3のスループットが前世代に劣るという結果も十分に納得できるからだ。

 CPUが実行可能なスレッド数を使って10×10の「Nクイーン問題」を計算するCPU Queenでは,i9-12900Kが前世代よりわずかに高いスコアを記録しているもの,Ryzen勢にはまったく及ばない。CPU Queenは極めて単純な計算を使って分岐予測のペナルティをテストするベンチマークテストだ。Ryzen勢における分岐予測のペナルティが小さいからの結果なのかというと,そう言い切るにはスコア差が大きい。
 Nクイーン問題は,n×nの碁盤の目にn個のコマが置けるパターンをすべて数え上げる問題で,それを実行可能なスレッドを使って計算している。i9-12900Kの場合,パターンを数え切るためにはE-Coreに割り振られたスレッドの実行結果も待たねばならない。よって,E-Coreの影響でRyzen勢に及ばなかったという可能性が考えられるだろう。

 これらに対して,整数で画像処理を行うCPU PhotoWorxxや圧縮を行うCPU Zlibでは,i9-12900KがRyzenに匹敵,あるいは上回るスコアを残している。これらは新世代CPUなりに順当な結果になったと言えそうだ。

 グラフ34は,AIDA64のベンチマークから浮動小数点演算を用いるテスト結果をまとめたものだ。

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 FPU Julia,FPU Mandel,FP32 Ray-Trace,FPU64 Ray-Traceでは,i9-12900Kのスコアは,Ryzenどころか前世代にすら届かなかった。FPU Sinjuliaでは前世代を上回ったものの,やはりRyzenには届いていない。これらはいずれも,E-Coreの計算待ちが起こり得るので,それが影響した可能性がある。

 AIDA64の結果を見渡すと,たとえば,CPUが実行可能な数のスレッドを起動して同じ計算を一斉に行うといった例では,すべての計算が出揃うための待ち時間が生じることがある。このような例では,すべてのスレッドが同じ重要度を持つため,Thread Directorのようなスレッドを振り分ける仕組みもあまり意味を持たない。Hybrid Architectureは,そうした大量のスレッドによる演算があまり得意ではないと言い換えてもいいだろう。
 いずれにしても,現時点ではAIDA64で見られたように,Hybrid Architectureによる得手不得手が出るということは理解しておいたほうが良さそうに思う。

ゲーム以外のテストにおけるi9-12900Kの性能はおおむね優秀


 レギュレーション24.0に準拠した,ゲーム以外の用途におけるCPU性能を見ていこう。
 グラフ35は,「PCMark 10」(version 2.1.2525)の「PCMark 10 Extended」のうち,Fire Strikeをウインドウモードで実行するGamingを除くスコアをまとめたものだ。なお,今回もGPUアクセラレーションを無効化するとベンチマークが完走しない現象が見られたので,GPUアクセラレーションが有効な状態のテスト結果を掲載している。
画像集#053のサムネイル/第12世代Coreの最上位CPU「Core i9-12900K」レビュー。Alder Lake-Sはゲーム性能でRyzen 9 5950Xを上回れたのか?

 総合スコアでは,i9-12900K(6000+OC)がトップで,ついで同(6000),R9 5950Xという順になった。i9-12900Kの定格であるDDR5-4800設定だと,R9 5950Xにわずかに届かないが,DDR5-6000設定でわずかに上回れたわけだ。

 Windowsの快適さを見るEssentialsはほとんど横並びだが,i9-12900K(6000+OC)が,同(6000),同(4800)の順でわずかに高いスコアを記録している。
 オフィススイートの快適さを見るProductivityでは,やや有意な差が出ており,トップはi9-12900K(6000),ついで同(6000+OC)そしてR9 5950Xの順で並んだ。ここでもDDR5-6000設定でなら,わずかにR9 5950Xを上回れる。
 レンダリングや静止画加工などを含むDigital Content Creationは,i9-12900K(6000),同(6000+),同(4800)の順となり,このテストを得意とするRyzen勢をi9-12900Kがやや上回る形となった。

 総じてi9-12900Kは優秀と言えるが,DDR5-6000設定の効果によるもので,DDR5の定格ではR9 5950Xと同等か,わずかに及ばないと言えそうだ。

 次に,「ffmpeg」(Nightly Build Version 2021-10-14-git-c336c7a9d7-full_build)による動画のトランスコード時間を見てみよう(グラフ36)。なお,今回はHybrid Architectureという従来にないアーキテクチャが登場したこともあって,久しぶりにffmpegを最新ビルドに更新した。そのため,過去の結果とは比較できないことに注意してほしい。テスト方法自体は,レギュレーション24.0のとおりだ。

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 H.264のトランスコードでは,i9-12900K(6000),i9-12900K(4800),i9-12900K(6000+OC)の順となった。ただ,R9 5950Xとは数秒という僅差なので,400秒以上かかるテストで有意な差かどうかは微妙なところだ。i9-12900K(6000+OC)の成績があまり良くないのは,熱的な問題からだろう。
 一方,H.265では,R9 5950Xが有意な差をつけてトップとなり,ついでi9-12900K(6000+OC),同(6000)の順となった。

 参考までに,グラフ37にi9-12900Kでエンコードしているときに,「HWiNFO64」で記録したP-Core 0のCPUコア温度を示しておく。

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 グラフでも,i9-12900K(6000+OC)が最大ジャンクション温度である100℃に達していることが見て取れよう。ちなみに,グラフ37の計測中ではなかったが,HWiNFO64が記録した温度の最大値を見たところ,3パターンすべてで最大ジャンクション温度である100℃を記録していた。違いは100℃に達する頻度だけであるようだ。
 そうであれば,もっと強力なCPUクーラー冷却すれば,もっと高性能になるではと思うだろうが,実際問題として難しい。小さな半導体ダイに241Wもの電力が集約されているのだから,おそらくどんなにヒートスプレッダ上から冷却しようとも,局所的には否応なく最大ジャンクション温度に達するのではないかと思う。
Intel製CPUにおけるシリコンダイとSTIM,ヒートスプレッダの構成を示したスライド。右端が第12世代Coreプロセッサだ
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 ちなみにIntelは,第12世代CoreプロセッサのKモデルにおいて,放熱特性を高めるために第11世代よりシリコンダイを薄型化したうえで,ヒートスプレッダとシリコンダイの間を埋める「STIM」(Soldering Thermal Material Interface)も薄型化したとアピールしている。それに加えて,今回は360mmサイズの大型ラジエータを備える簡易液冷CPUクーラーを使用した。つまり,一般のゲーマーが望みうる最高の冷却システムでこれなので,i9-12900Kを最大ジャンクション温度に達しないよう制御するのは,ゲーマーには不可能ではないかというのが筆者の見解だ。

 続いてDxO PhotoLabシリーズの最新版「DxO PhotoLab 5」(Version 5.0.0 Build4639)を用いたRAW現像時間を比較しよう(グラフ38)。

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 トップはi9-12900K(6000)で,ついで同(6000+OC),同(4800)の順となった。これまでDxO PhotoLabのRAW現像では,R9 5950Xが無類の強さを誇ってきたが,ついにi9-12900KがR9 5950Xを有意に上回る性能を叩き出したわけだ。
 ちなみに,DxO PhotoLabのデフォルト設定では,2枚の写真を複数スレッドに分けて同時にRAW現像する設定になっている。この設定が,i9-12900KのHybrid Architectureにハマったのではないのかと推測している。今回は試していないが,同時にRAW現像する枚数を増やすとi9-12900Kのスコアが下がり,R9 5950Xのスコアが上がるといった可能性もありそうだ。

 続いて,3Dレンダリングベンチマーク「CINEBENCH R23」の結果がグラフ39,40だ。

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 CINEBENCH R23のマルチスレッドも,これまではR9 5950Xが他を圧倒していたが,ついにIntelのi9-12900Kがそれを上回るスコアを叩き出した。ただ,その差はわずかだ。
 i9-12900Kは,シングルスレッドのスコアが極めて高い。一方で,マルチスレッドのスコアは,シングルコア比で約13倍に過ぎない。一方,R9 5950Xは,おおむねコア数と同等である約16倍のスコアを出している。そのため,R9 5950Xのマルチスレッド性能が,i9-12900Kに肉薄したという結果である。

 なお,CINEBENCH R23では,i9-12900Kのオーバークロック設定は逆効果で,メモリの高クロック動作もあまり影響がないようだ。CINEBENCHは以前から,メモリ設定の影響を受けにくかったように記憶しているので,そういう傾向があるのだろう。

 最後は,「7-Zip」(Version 19.00)の結果をまとめておこう(グラフ41)。

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 このテストではR9 5950X,R9 5900Xの順で,i9-12900KはRyzen勢に及ばなかった。i9-11900Kよりは大きくスコアを上げてきているので,E-Coreが影響したとも言い切れない結果だが,AIDA64で指摘したように,E-Coreの影響という可能性もあり得る。

 以上,ゲーム以外の用途によるテストを見てきた。7-Zipのような例外はあるものの,おおむねi9-12900Kの成績は良好と見ていいだろう。少なくともR9 5950X並の性能が,ゲーム以外の処理でも得られると評価できそうだ。

高負荷時は高いものの,通常使用時は常識的な消費電力のi9-12900K


 最後に,i9-12900KのCPUコア温度や消費電力を評価していくことにしよう。
 グラフ42は,ffmpeg実行中にHWiNFO64を使って記録したCPUコア温度の最大値をまとめたものだ。
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 グラフ37でも触れたとおり,i9-12900Kは3パターンとも最大ジャンクション温度の100℃に達している。3パターンの違いは100℃に達する頻度で,オーバークロック設定を行うと,最大ジャンクション温度に達する頻度が高くなるようだ。
 i9-12900K以外のCPUは,常識的な温度範囲に収まっていると言っていいだろう。R9 5900Xが少し高めなのは気になるが,R9 5950Xは80度以下に収まっていて,使用したROG RYUJIN II 360の冷却性能が高いことがうかがえる。

 一方,ベンチマークレギュレーション24.0に準拠した方法で,アプリケーション実行中におけるCPU単体の最大消費電力と,無操作時にディスプレイ出力が無効化されないよう設定したうえで,OSの起動後30分放置した時点(以下,アイドル時)の計測結果をまとめたものが,グラフ43と44だ。グラフ43がゲーム実行時,グラフ44がゲーム以外のテスト実行時における最大消費電力である。

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 i9-12900Kにおける最大消費電力の高さが目につくが,ゲーム実行時を細かく見ていくと,i9-12900K(6000+OC)で最大を記録したのは,Borderlands 3プレイ中の287.4W。i9-12900K(6000)は,CoD Warzone実行時の236.3W。i9-12900K(4800)はFortnite実行時の242.9Wとなった。Project CARS 3のような例外を除くと,i9-12900Kの最大消費電力は他を圧倒しており,とくにオーバークロック設定を行ったときの消費電力は,記録的なレベルと言っていい。

 ゲーム以外の実行時も,AIDA64実行時に282.2Wを叩き出したi9-11900Kを例外とすれば,軒並みi9-12900Kが高い最大消費電力を記録している。i9-12900K(6000+OC)は,ffmpeg実行時に280.7W。i9-12900K(6000)はPCMark 10実行時に264.7W。i9-12900K(4800)はCINEBENCH R20実行時に279.6Wを記録した。

 一方,最大消費電力の大きさに比べると,i9-12900Kのアイドル時における消費電力は極めて優秀で,感心させられた。i9-12900K(6000+OC)はやや高めだが,オーバークロック設定を行わなければ4Wそこそこまで消費電力が下がる。おそらく,アイドル時にP-Coreへの電力供給を止めているためだろう。Hybrid Architectureの面目躍如といったところか。
 ピーク時には300W弱もの電力を消費する一方で,負荷が軽減すると4Wほどまで一気に消費電力を下げる電力制御の技術には,舌を巻くほかない。Intelが長年にわたってつちかってきた制御技術の集大成といったところか。同時に,極めて激しく上下動する消費電力をCPUに供給できるマザーボードのVRM部に使われた高度な設計にも感心する。
 i9-12900Kを使用するためには,最大消費電力を安定的に供給できるだけの電源周りが必要となることは指摘しておこう。マザーボードには強力なVRM部が必要となるのでコストがかかるし,もちろん電源ユニットも大容量が必要となるからだ。

 続くグラフ45に,ゲーム実行時の典型的な消費電力を示す消費電力中央値を,グラフ46には,ゲーム以外の実行時における消費電力中央値をまとめている。

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 一見して分かるとおり,i9-12900K(6000+OC)のゲーム実行時における消費電力中央値は,少々厳しい。CoD Warzone実行時に記録した125.6Wという中央値は,CPU負荷が比較的軽いゲームとしては記録的な高さだ。ここまで見てきたようにオーバークロック設定の効果は限定的なので,i9-12900Kでのライトなオーバークロックは,あまりおすすめできないという印象だ。
 ただ,i9-12900K(6000)やi9-12900K(4800)のゲーム実行時における消費電力中央値は,他のCPUと比較しても常識的な範囲に収まった。つまりi9-12900Kの消費電力は,上下動が極めて大きいということだ。

 一方,CPUに負荷をかけ続けるゲーム以外のテストになると,i9-12900Kの消費電力はかなり高い。i9-12900K(6000+OC)は,7-Zip実行時に213.8W,i9-12900K(4800)はRAW現像時に210.2Wを記録してることが目立つところだろう。
 ただ,前世代のi9-11900Kも消費電力が非常に高いCPUであり,オーバークロックさえしなければ,高負荷時のi9-12900Kの消費電力はi9-11900Kとあまり変わらないと見ていいだろう。

 以上をまとめると,i9-12900Kはピーク時に極めて高い消費電力を記録するものの,ゲームプレイ時の消費電力は常識的な範囲に収まる。その一方,CPUに負荷をかけると前世代と同等レベルの大きな電力を消費するCPUと言える。CPUに負荷をかけた場合の消費電力あたり性能は,Ryzen勢のほうが圧倒的に高い。

 消費電力テストの最後に,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を用いて,各テスト実行時点におけるシステムの最大消費電力をグラフ47グラフ48にまとめておいた。

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 システムの最大消費電力で目立つのは,やはりオーバークロック時におけるi9-12900Kの消費電力が高いことだ。i9-12900Kでのオーバークロックは割が合わないな,というのが正直なところだ。
 また,システム全体における消費電力あたり性能も,Ryzenのほうが強いとまとめられるかと思う。ただ,i9-12900Kのアイドル時に低消費電力は優秀だ。

名実ともに最強……と呼ぶのには抵抗を感じるi9-12900K


 i9-12900Kの性能を見てきた。Fortniteのような例外はあるもののも,ほとんどのゲームで高いフレームレートを記録して,ゲーム以外の用途でも競合のR9 5950Xと同等かときにしのぐ性能を見せている。Fortniteのような例外は,今後,Intelがアピールしているように最適化が進めば減っていくはずだ。
 そう考えると,Intelが主張するとおりに「世界最強のゲーマー向けCPU」ではあるのだが,そう呼ぶには少し抵抗感もある。それはPower Limitの問題があるからだ。

 i9-12900KはPower Limitを事実上外してしまったようなCPUであり,そこまでしてようやくR9 5950X(厳密に言うとDDR4-3600設定で動かしている)を上回れたという印象が拭えない。i9-12900Kの標準設定がPL1=PL2=241Wなので,意図的にPL1を下げるテストは行っていないが,おそらくPL1を常識範囲に設定すると,その性能はR9 5950Xに及ばないのではなかろうか。
 逆に言えば,R9 5950Xはそれだけ強力なCPUということかもしれない。

画像集#068のサムネイル/第12世代Coreの最上位CPU「Core i9-12900K」レビュー。Alder Lake-Sはゲーム性能でRyzen 9 5950Xを上回れたのか?
 とはいえ,ゲーム目的でi9-12900Kを導入するのは,悪くない選択肢だろう。Intelがアナウンスしている税込7万9800円前後という価格に収まるなら,R9 5950Xの実勢価格(10〜12万円程度)よりは安価になるので,その点も魅力的だ。もっとも,i9-12900Kを活かすには強力な電源部を備えるマザーボードや電源ユニット,そして高性能な液冷クーラーが必須になるので,その部分への投資は覚悟する必要があろう。
 また,DDR5-6000設定の効果が見られた一方で,定格のDDR5-4800設定だとやや凡庸な性能に落ち着く傾向が見られたので,高クロック動作のDDR5メモリもほしいところだ。

 一方,ゲームだけでなく動画や画像編集をPCで扱うことが多いという人にとっては,R9 5950XやR9 5900Xが依然として価値を持つ。安定的な性能を常識的な消費電力で発揮してくれるので,i9-12900Kよりも扱いやすいからだ。また,R9 5950XやR9 5900Xのゲーム性能は今でも高く,むしろi9-12900Kにも太刀打ちできるレベルにあるという点は指摘しておきたい。

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