“王国”に、分け隔てはありません――。柿やブドウなど多彩な果物が収穫でき、「フルーツ王国」をPRする和歌山県かつらぎ町でバナナの栽培が始まった。北に和泉山脈、南に高野山という内陸地にあり、冬は冷え込む町のうたい文句は「バナナとパイナップル以外は何でもできる」。これまで例外とされていた南国育ちを町に迎え入れたのは、キノコの栽培技術だった。
同町妙寺の旧町立妙寺保育所の土地・建物を所有する町が2021年3月、活用法を募集したのに対し、NPO法人「かつらぎフルーツ王国振興公社」がバナナ栽培を提案した。公社によると、国内でバナナの消費量のうち国産は0・1%ほどで、産地は沖縄や鹿児島などに限られる。事務局長の森川久典さん(58)は「中高生に加工品のアイデアを話し合ってもらうなどし、町産だとアピールして販売したい。バナナを見に来てもらい、旧園舎も有効に使い、にぎわいの拠点にしたい」と話している。
バナナの栽培は、堺市のキノコ栽培会社「HASIMOTO」と連携して行う。72平方メートルのビニールハウス1棟の中で、7種類のバナナ約40本を栽培する予定だ。「HASIMOTO」は、町内でキノコの栽培を手掛けてきた。「バナナは栄養があり、大好きだ」という橋本崇会長(36)によると、キノコ栽培の温度・湿度管理の技術を生かして取り組むもので、2年ほど前から栽培の本格化に向けて準備してきた。腐葉土を投入して土を耕すとともに、地中に埋めるパイプに間伐材などを燃やして沸かした湯を循環させるなどし、土を暖める。順調に生育すれば、22年8~9月ごろには収穫できるようになるという。
“王国”拡大に夢は広がる。保育所の土地に設けられたビニールハウスでは13日、地域の子どもたち約20人が高さ数十センチのバナナの株10本を植え付けた。町立妙寺中2年の溝端一仁さん(13)は「株は想像以上に大きかった。大きく育って、おいしいバナナができたらうれしい。バナナに興味を持って町に来てもらえたら」と話していた。【藤原弘】
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