国産の柑橘(かんきつ)類やリンゴの販売がピークをすぎる4月、スーパーマーケットの果物売り場のメインはバナナやキウイなどの輸入果実に移ります。ほぼ通年で棚に並んでいる輸入果実ですが、国産果実が品薄な4~6月は、店頭で特に存在感が高まります。
2021年の総務省「家計調査」で、北海道の2人以上世帯の果物への支出金額を調べてみると、こんな順番になります。
国産がほとんどのミカンやリンゴを抑えて、トップはバナナでした。100グラムあたりの平均金額は調査対象の13品目の中で最も低いにもかかわらず、消費量が多いため、支出金額でもトップでした。
「バナナは価格の優等生です。世界中で産地が多いのに加えて、生産の手間も少ない。国内の大手企業が通年で買い付けており、年間を通じて価格が安定しています」(札幌みらい中央青果輸入果実課)。消費者から見ると、包丁を使わなくても皮が手で簡単にむける上に、栄養価も高く、幼児から高齢者まで気軽に食べられることで安定した需要が維持されています。
実際、どうなんでしょう。農林水産省の統計から、バナナの輸入数量とその単価を調べてみました。
日本が輸入しているバナナの8割ほどはフィリピンからやってきます。2012年にバナナの生産地が巨大な台風の直撃によって打撃を受け、13年からは輸入量が減少、品不足もあって価格は大きく上昇しました。しかし、その後は生産量の回復とともに、輸入単価も落ち着き、昨年まではやや下落傾向にもなっていました。
しかし、輸入商材を巡る状況は2月以降、大きく変化しています。為替相場で円安が加速して、わずか1カ月の間に、1ドル=115円近辺から1ドル=125円台まで円安が進行しました。円の国際的な価値が弱まる円安は、海外からモノを買うときには、より多くの円を支払わなければならなくなり、不利になります。
さらに、ロシアのウクライナ侵攻の影響から、国際原油相場が高騰し、フィリピンからの船による輸送費用も割高になっています。
安値安定の代名詞だったバナナ。「価格の優等生」にも静かに価格上昇の圧力がかかり始めていました。
■「特売が組めない」
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