富山市婦中町上轡田の県中央植物園で、一株のバナナに三百本以上の実が付いた。三十年近く栽培を続けているが、これだけ多く結実したのは初めて。五年前から取り組んできた土壌改良の成果が実った。
バナナは多年生植物で、木ではなく草の仲間。一生に一度だけ、花が咲いた後に実を付ける。同園では一九九三年の開園当初から、熱帯果樹室で育てている。
今回の株は二年前に植えられ、今は高さ五メートルほどに成長。一個の果穂から複数の房が連なるようにして実を付けている。実の一本の長さは十〜二十センチで、商品としても十分通用する。
同園では毎年バナナの実がなるが、百〜百五十本程度。フィリピンや台湾など本場の産地ではもっと多くの実を付けるといい、「うちのバナナを見た来園者が『バナナはこんなものか』と変に勘違いしては困る」として、五年前に本格栽培に着手した。
取り組んだのが土壌の改良。熱帯果樹室担当の志内利明さん(52)によると、バナナは肥料を大量に与えても生育に問題ないそうで、根からたくさんの養分を吸い上げられるよう、こまめに土を盛っては肥料をまいた。既に結実を終えた周囲の株は掘り起こして除去し、土壌の水分や養分が一つの株に集中するようにした。
これらの努力のかいもあって、今回の株は「偽茎」と呼ばれる幹の部分が直径三十センチにまで成長。志内さんは「この太い幹から果穂まで養分をたっぷり送れたことが、大量の結実につながった」とみている。
一カ月程度は観賞できるが、次第に実が腐っていくため、早めに見るのがお勧め。志内さんは「摘み取って食べたいところですが、実が朽ちていくまでの過程を見せるのも植物園本来の役目」と話す。
木曜休園。入園料は大人五百円、高校生以下と七十歳以上は無料。(問)植物園076(466)4187 (平井剛)
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