パルシステム連合会は、2021年12月にフィリピン中南部を直撃した台風22号により壊滅的な被害を受けた「エコ・バナナ(バランゴン)」のカタログ注文受付を7月18日から再開。30年前からネグロス島と消費者をつなぐ民衆交易から始まったパートナーシップにより、フェアトレードバナナの畑が復興している。
家屋修繕のため配付された屋根材
台風22号は、2021年12月16日から17日にかけてバランゴンバナナの主要産地であるネグロス島をはじめ、ボホール島やミンダナオ島北部の産地を直撃。ネグロス島では、主要作物であるサトウキビやバナナの畑に甚大な被害を与え、バナナの出荷量は予測収量の8~9割減まで落ち込んだ。
パルシステムは現地の被害を受け、毎週のカタログへの掲載を見合わせ、予約登録で商品を届ける「パルくる便」のみで供給していたが、被災後半年以上が経過して復興が進んだ。8月以降は前年度並みの生産量に回復する見込みとなったことから、カタログでの注文受付を再開する。
パルシステムなど海外パートナーから2300万円の支援金
12月の台風は生産者の家屋105軒を全半壊させ、出荷できるバナナがなくなった産地の人々は収入が一時的に途絶える状態となった。パートナー企業のオルタートレード・フィリピン社(ATPI)などの呼びかけに応じ、パルシステムをはじめ海外の団体が2300万円超の支援金を用意し、農地復興と生産関係者の生活支援を進めてきた。
支援金は被災直後の食料支援838家族分や全半壊した家屋の修復、倒壊したバナナ集荷場や農場施設復興のための資材等に使われ、バナナが倒伏した畑には、支援金から肥料とする鶏糞も配付。施肥の効果により倒伏したバナナから再生した脇芽の生育が予測以上に早まり、出荷量の回復に寄与した。
鶏糞をバナナ畑の中まで運び込むスタッフ
生産地域のくらしを支えるフェアトレードバナナ
エコ・バナナ(バランゴン)
民衆交易によるフェアトレードバナナは、生産者だけでなく選果作業やフィリピン国内での流通、パッキングなど出荷までの作業に携わる多くの人達の生活を支えている。今回の被災で一時的に仕事を失ったスタッフは、ATPIから日当を受け取り、バナナ畑に足を運んで復興作業に携わり、普段の仕事では目にしない生産現場を知るきっかけともなった。
日本の消費者にとって身近な存在のバナナ。生産現場の情報に触れる機会は少ないが、パルシステムは地域の人々とくらしを応援するため産地の状況を消費者に伝え、持続可能な生産と消費を支える活動を継続していく。「エコ・バナナ(バランゴン)」(500g)は通常価格343円(税込)。
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