イタチ科テン属に分類されるマツテンは、イギリスではかつて、最も一般的な野生の哺乳類の一種として知られていたが、様々な迫害を受け、19世紀終わりにはイングランド南西部から姿を消し、イギリスでは絶滅危惧種となった。
現在、そのマツテンを再導入するプロジェクトが発足された。2024年の秋を目指して南西部の2か所の国立公園にマツテンを解放する予定だという。
マツテンは、体長50cm前後、体重1kg前後のイタチ科テン属の哺乳類だ。森林に生息し、主に樹上生活をしているが、地面を速く走ることもできる。
現在、イギリスで絶滅危惧種に指定されているマツテンは、かつて最も一般的な野生生物として知られていた。
ところが、ビクトリア時代にスポーツで撃ち殺されたり、毛皮のために捕獲されたりと迫害を受けた結果、1880年代にはイングランド南西部から姿を消してしまった。
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20世紀の初めまでにイギリスに残っているマツテンは、スコットランド北西部の高地と、イングランド北部とウェールズの高地にある小さな領土に限られているという。
イングランド南西部にマツテンを再導入するプロジェクト
そこで今回、ナショナルトラスト、デボンワイルドライフトラスト、ウッドランドトラストなどの保護団体連合は、南西部のエクスムーア国立公園とダートムーア国立公園の両当局と協力し、マツテンの再導入プログラム『Two Moors Pine Marten』を発足した。
2021年に発表された研究によると、イングランド南西部にはスコットランドやウェールズほどの大きな森林地帯はないが、同地域の主要道路は低密度かつ川の集水域で接続されている森林と樹木が茂った谷があることから、マツテンが繁殖するのに十分な生息地を提供できることが判明したようだ。
今の段階では、このプロジェクトを実施するにあたって、住民や農民、土地の所有者または土地利用者らと話し合い、計画が環境や周辺の事業にどのように影響するかをトラスト連合が評価している最中だという。
2024年の秋を目指して活動中
マツテンは雑食性で、ハタネズミ、ウサギ、菌類、果実、小鳥など、年間を通じて入手可能なものを全て食べ、森林の生態系のバランスを保つのに役立つ。
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エクスムーア国立公園局の最高経営責任者サラ・ブライアンさんは、「これらのカリスマ的な生き物を、エクスムーアの豊かな自然遺産の一部にする可能性をもう一度検討できることを嬉しく思います」と述べている。
また、デボンワイルドライフトラストの自然保護マネージャーであるエドパー・フェリスさんは次のように話している。
マツテンの再導入は、人間が自然と一緒に暮らす方法を変える必要があるかもしれないという課題をもたらす可能性があります。地域では、温室効果ガスと気候に対処するため、より多くの森林を植えようとしていますが、それら自然を機能させる野生生物と生態系を取り戻すことも、重要なことのひとつだからです。
今後18か月間は、影響を受ける全ての人々と協力して、マツテンやその他の野生生物、更には人々のために、持続可能な方法で取り組んでいく方法を生み出していきたいと考えています。
チーム一同は、2024年の秋頃には、夜行性の哺乳類マツテンが実に約150年ぶりに、イングランド南西部に姿を見せることができるよう願っている。
ちなみにイギリスの環境庁は、生息地の喪失と地球温暖化が原因で、イギリスの野生生物が壊滅的な危機に直面していることを示唆している。
イギリスは、世界で最も自然が枯渇している国の1つであり、1970年以降、在来の動植物種の41%が減少し、15%が絶滅の危機に瀕していると伝えられている。
References:Endangered pine martens could be reintroduced to south-west England | indy100/ written by Scarlet / edited by / parumo
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