店舗が大幅に減り、ハンバーガーチェーンの“絶滅危惧種”と言われてきた「ドムドムハンバーガー」が、復活の兆しを見せている。赤字続きだった業績は、2021年3月期に黒字転換し、今年3月期には増収増益を果たした。その原動力には、専業主婦からビジネス界に転じた異色のトップによる前例にとらわれない取り組みや、ドムドムブランドへの熱い愛があった。【増田博樹】
最盛期には全国で400店
ドムドムは、1970年に営業を始めた国内最初のハンバーガーチェーン。マクドナルドの日本第1号店の出店より1年早い。主に親会社だったスーパーマーケット「ダイエー」の店舗内に出店し、最盛期の90年代には約400店を展開していた。しかし、ダイエーの経営不振で店は激減。17年にホテル運営や企業再生を手がける「レンブラントホールディングス」のグループ会社が事業を買収し、現在は同グループの「ドムドムフードサービス」が29店の運営に当たっている。
指揮を執るのは、ドムドムフードサービス社長の藤崎忍さん(56)。その再建手腕がメディアにも注目される藤崎さんだが、通常の“敏腕経営者”のイメージとは違う異色の経歴を歩んできた。
藤崎さんは短大卒業後まもなく、当時、東京の区議だった男性と結婚。専業主婦として政治家の夫を支えた時期が長く、39歳まで職業経験がなかった。だが、夫が病に倒れて家計を支える必要に迫られ、05年からファッションビル「渋谷109」のアパレルショップ店長として約5年間勤務。11年には、自ら東京・新橋に居酒屋を開業した。渋谷109では業績を改善させ、居酒屋は予約必須の人気店に育てた。
このままではつぶれる
その居酒屋の常連だったレンブラントの役員から、ドムドムのメニュー開発のアイデアを提供してほしいと依頼された。引き受けた藤崎さんは、現在の人気メニュー「手作り厚焼きたまごバーガー」を完成させる。そして、社員ではないにもかかわらず、店舗を視察してリポートも提出。そんな熱意が買われ、17年11月に正社員に採用された。
だが、店舗指導の担当になって店を回るうち、気になる点がいくつも見つかったという。社内の会議は数字の報告がメインで、意見交換やコミュニケーションが足りない。店によってハンバーガーの作り方が違うなど、マニュアルが徹底されていない――。そんな中、18年3月期決算が大赤字であることを知る。居酒屋を起業して経営した経験から、このまま続けば会社がつぶれると感じたという。
渋谷109や居酒屋では、問題があれば自ら即座に改善してきた。だが、小さくてもそれなりの会社組織であるドムドムでは段階を踏まねばならない。であるならば、と誘ってくれた役員に電話をかけて直訴した。「私を意見の言える立場にしてください」
「役員にしろということですよね。…
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