「芸術作品破壊」の経営と経済
新潟県十日町市にある「越後妻有里山現代美術館MonET」に展示されていた現代アート作品2点が、今年の春、修学旅行で館を訪れた新潟県内の中学生によって破壊される事件がありました。
壊されたのは現代日本の作家、クワクボリョウタの「LOST#6」と、やはり現代ドイツのミュージシャン=アーティストのカールステン・ニコライの「Wellenwanne LFO」の2点。
犯行に及んだのは、学校名は伏せますが新潟市立の中学校3年生の生徒で、防護柵などを乗り越えて作品を破壊した。あれこれ言う前に、犯罪です。
これが、子供が単にワルなのか、はたまた中学生にフラストレーションがたまりやすい時代云々・・・などと言うべきなのか?
そのあたりの事情は、あまり簡単に短絡できないように思います。
さて、ここで視線を新潟から米国に向けてみましょう。
いささか旧聞に属しますが新型コロナウイルス感染症パンデミック前の2019年、フロリダ州マイアミで開かれた展示会「アートバーゼル」で、壁にガムテープで生のバナナを貼り付けただけの作品が出展されました。
単なるバナナを「作品」として展示したのはイタリアのコンセプチュアル・アーティスト、マウリツィオ・カッテラン(Maurizio Cattelan 、1960-)作品は「コメディアン」と名付けられます。
さらにこのバナナには1300万、1500万という法外な値段で、3人もの買い手がつきました(https://www.youtube.com/watch?v=f_TvVZxvX6c)。
こうなってくると日本のテレビでも面白がって取り上げるネタになってきます。
「どーしてバナナが1500万円なんでしょーね~? アートだからでしょうかネ~??」ってなもんで、ここまでだけでも十分スキャンダラスです。
しかし、さらにそれを勝手に食べる男が登場(https://edition.cnn.com/style/article/david-datuna-banana-art-basel-trnd/index.html)するに及んで、スキャンダルは世界に報道されました。
バナナを食った男(https://www.instagram.com/p/B5yIFp2hyE-/?utm_source=ig_embed&utm_campaign=embed_video_watch_again)はグルジア生まれのやはりアーチスト、デイヴィッド・ダトゥナ(David Datuna、1974-2022)で、すでにこの世の人ではありません。
ちなみに、別段バナナ・アートを食べたために銃で撃たれたとか、そういうことではなく、単に病死です。
さて、ここで考えてみていただきたいのです。
もし新潟県十日町の美術館に「バナナを貼り付けるだけ」のアートが展示され、修学旅行に来ていた中学生がそれを食べてしまったら、子供の親は1500万円の損害賠償を払わなければならないのでしょうか?
からの記事と詳細 ( 1本1500万円の「バナナアート」を食べた男 「芸術作品破壊」の経営と経済(1/5) - JBpress )
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