展示課・清田環希
GAO通信
水族館には、「種の保存」「教育・環境教育」「調査研究」「レクリエーション」の四つの役割がありますが、その一つ「種の保存」の取り組みについてご紹介します。種の保存とは、簡単に言うと絶滅危惧種などの希少種を保護、繁殖させることでその種が絶滅しないようにする活動です。保全のやり方は色々ありますが、水族館では主に域外保全が行われます。これは本来の生息地とは別の場所で保護することです。ちなみに、生息地内で保護活動を行うことは域内保全と言います。
男鹿水族館では、トミヨ属雄物型やキタノアカヒレタビラなどの絶滅危惧種の域外保全に取り組み、シナイモツゴという魚の域外保全も行っています。
シナイモツゴはコイ目コイ科に属する淡水魚で、東北地方の広範囲に生息していました。しかし、近縁種で関東以西に生息するモツゴが移入されたことで競合に負けてしまい、モツゴが移入した池では数年でシナイモツゴがモツゴに置き換わったため、生息数が激減し、環境省や秋田県のレッドリストで絶滅危惧IA類に指定されています。男鹿水族館では八峰町の個体群を分けていただき、何世代にもわたって飼育しています。
絶滅危惧種の繁殖はとても難しく、覚悟が必要と考えていました。実際に、トミヨ類もタナゴ類も飼育下での繁殖は難易度が高く、かなりの時間を割いています。しかし、シナイモツゴは屋外に繁殖用のプールを設置して増やしているのですが、毎年10月ごろに行う掃除以外は特別なことはせずともたくさん増える魚でした。モツゴの移入がなければ繁殖力の強い魚だったんです。今年は429匹の稚魚が生まれました。この命をつないでいくことで、秋田のシナイモツゴを守っていきたいと思います。(展示課・清田環希)
からの記事と詳細 ( ほんとは繁殖力が強い絶滅危惧種 近縁種の移入で激減のシナイモツゴ:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル )
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