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Monday, June 29, 2020

「そっと見守って」絶滅危惧の鳥、土砂置き場で子育て 砂浜など繁殖地が減少 - 沖縄タイムス

 6月は多くの野鳥が繁殖期の真っただ中。沖縄本島南部で15日、絶滅危惧種のコアジサシの群れが子育てをしている様子が確認された。そこは土砂が積まれた資材置き場。土地開発などによって自然環境が悪化し、コアジサシが好む繁殖場所が減っている。「見つけたら、そっとしてあげて」と専門家は求めている。(社会部・山城響)

コアジサシの親鳥とひな=15日、本島南部(下地広也撮影)

コアジサシの親鳥とひな=15日、本島南部(下地広也撮影)

コアジサシの群れが子育てをしている土砂の仮置き場=15日、本島南部

コアジサシの群れが子育てをしている土砂の仮置き場=15日、本島南部

コアジサシの親鳥とひな=15日、本島南部(下地広也撮影) コアジサシの群れが子育てをしている土砂の仮置き場=15日、本島南部

■コアジサシの群れ80羽

 「キリッ、キリッ」。上空を飛び交うコアジサシの群れから鳴き声が響いた。県自然保護課によると、約80羽。群れのすぐ下には、那覇市が管理する埋め立て用土砂の仮置き場が広がる。サッカー場より少し小さい広さに、約1万立方メートルの土砂が台地状に積まれている。その上で、小魚をくわえたコアジサシの親鳥が、ひなに餌を与えた。白い砂地に卵もある。

 環境省によると、コアジサシは年に1度、4~8月ごろ繁殖のために沖縄へ飛来する。草が生えていない、人けのない海岸や無人島などを選び、集団で巣をつくる。近年、コアジサシが好む海岸の砂浜や河川の砂地などが開発などで減少。工事現場や造成地などを代用するケースが増えているという。

 県によると、本土復帰以降、県内で公有水面埋立法に基づいて埋め立てられた海や河川などは104件、約1227ヘクタール。新基地建設の埋め立て工事が進む名護市辺野古沖の約7・7倍の広さだ。

■7月末まで立ち入り注意

 鳥獣保護法は、卵やヒナを許可なく移動させることを禁じている。保全策を取り、繁殖が終わるまで見守ることが求められている。環境省は工事現場などでの繁殖について「工期を遅らせたくない場合は、野鳥が繁殖場所に選ばないように草を生やすなど、事業者側が営巣防止策を取る必要がある」と指摘する。

 本島南部の営巣地を管理する那覇市商工農水課は、ひなが巣立つまでの間、県や沖縄野鳥の会と連携しながら必要な保全対策を取る方針。担当者は「土砂の移動など、工事が本格化するのは早くても8月以降。繁殖に影響しないよう見守りたい」と話す。

 沖縄野鳥の会の山城正邦会長は、コアジサシの繁殖を見守る一人。「産卵に適した砂浜を見つけても、遊泳客がいれば警戒して産まない。繁殖地を見つけたら、ひなが飛べるようになる7月末まで、人や車の立ち入りに注意してほしい」と呼び掛けている。

[ことば]コアジサシとは

 環境省レッドリストの絶滅危惧2類。繁殖の成功率は10%未満。個体数が少なく、近い将来絶滅する可能性がある。カモメの仲間の海鳥で、産卵や子育てのために豪州などから飛来する。黄色いくちばしと灰色の背中が特徴。ひなが飛べるようになるまで、ふ化から約20日かかるという。

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