ロンドン在住のアンナ・チョイニカ(35)は昨年、コロナ感染の疑いで自宅隔離している間、暇をもてあましていた。退屈すぎて、キッチンに置いてあったバナナをぼーっと見つめ、皮の変色した筋をフォークでなぞるほど、暇をもてあましていた。
ずっと見つめているうちに、どんどん暗くなっていくバナナの皮の筋。それに魅了された彼女は、フォークでいたずら書きを始めた。実際には描くのではなく、フォークで皮を軽く押すという作業の繰り返しだ。
「パンデミックで生まれた奇妙な症状ですね……バナナアートを作るなんて」と彼女は言う。
アニメキャラからグレタ・トゥンベリまで
バナナの皮に傷(あざ)をつけるアートを発見して以来、チョイニカは毎日欠かさず作品をつくって、ツイッターとインスタグラムに投稿。何万人ものフォロワーにお披露目している。投稿用に写真を撮った後のバナナは無駄にせず、毎日食べているという。
彼女の作品はアニメ『シンプソンズ』のキャラクターから環境活動家のグレタ・トゥーンベリまでさまざま。それでも社会問題や時事ニュースにインスパイアされることが多いという。最近では、陰陽で描いた女性2人の横顔の中に「Empowered women empower women(エンパワーされた女性は周りの女性もエンパワーする)」というスローガンを書き込んだ作品をつくった。
「バナナはイエローからゴールド、オレンジ、ブラウン、そして最後にブラックというふうに美しく変わっていきます」とチョイニカ。
バナナが変色するのは空気に触れて酸化するためだ。チョイニカは皮を押して傷をつける時間を変えることで、色の濃さを調節してさまざまな陰影を出し、より複雑な作品を生んでいる。
バナナアートに挑戦するには
最初はただの暇つぶしとして始まったバナナアートだが、いまや慈善活動にもつながっている。チョイニカはフォロワーの力を借りて、クラウドファンディングで寄付を募り、イギリスの食料配給チャリティー団体を支援するなどの活動を行っているのだ。
チョイニカは、バナナアートに挑戦してみたいと思う人に向けて、以下のようにアドバイスする。
まず必要なのは、1本のバナナと、傷をつけるツール。突き刺して穴をあけるためのものではなく、押して圧力を与えるためのものだ。最初はフォークを使っていたチョイニカだが、最近は縫い目をほどく時などに使う裁縫道具のリッパーを利用しているという。
とにかく、くしやつまようじなど、先端が鋭利に尖っていないものであれば、なんでも使えるとのことだ。
最初はシンプルな絵柄から始めたほうが良い。慣れるまでは、色の濃淡も3段階にとどめるのがベスト。
まず一番暗くする部分から描いて、変色するのを待つ。一晩置いて真っ黒にするのもありだという。次に中間の濃さにする部分へ移り、最後に一番明るい部分だ。
満足できる作品ができたところで、すぐに写真を撮っておくこと。放っておいたら、どんどん暗くなっていくからだ。数分でまったく違う色合いになることもあると、チョイニカは言う。
何はともあれ、いろいろ実験してみるのが楽しいだろう(バナナが嫌いでなければの話だが)。バナナアート最大のメリットは、こじゃれた道具がなくてもできること。
からの記事と詳細 ( コロナ禍の暇つぶしで始めた「バナナの変色アート」がスゴすぎる! | 1本のバナナとフォークで誰でもできる - courrier.jp )
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