知多半島の南部、愛知県美浜町の丘陵にある果樹農園「萬秀フルーツ」。温室2棟、合計25アールに約450本のバナナの木が並ぶ。
冬でも15℃の温度に保たれた温室で、バナナの巨大な葉の間から、収穫間近の青い実がびっしりとついた1メートルほどもある房がぶら下がる。
「知多ばなな」は、輸入バナナに比べて小ぶりで皮が薄く、実がみっちりと詰まっていて甘みも強い。名古屋市内の高級スーパーに1本300円ほどで並ぶ。
希少な国産としてブランドが育った「知多ばなな」だが、農園主の大崎秀樹さん、佳子さん夫妻がバナナ栽培を始めたそもそものきっかけは、果樹農園が直面した存続の危機だった。
「もう、ダメかも」救ったバナナ
もともと萬秀フルーツは、敷地にある8棟の温室でハウスミカンのブランド「みはまっこ」の栽培をしてきた。
危機に見舞われたのは10年ほど前。
植え替えた苗木から土壌伝染性のウイルスに感染、すべてのミカンの木を伐採しなければならない事態に追い込まれた。
「ミカンがダメなら」と始めたグレープフルーツも、軌道に乗り始めた矢先に再びウイルスに感染し、一部の温室が使えなくなった。
佳子さんは「もうダメかも知れないと思った。農業の厳しさを痛感した」と振り返る。
この危機を救ったのが、バナ…
からの記事と詳細 ( 果樹園からウイルス…危機救ったバナナ 新商品を生み出した「物語」 - 朝日新聞デジタル )
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