人気が集中し、予約が取りづらい金作原国有林のエコツアー=奄美市名瀬
3連休明けの19日午前、金作原ゲート近くに車5、6台が止まっていた。認定エコツアーガイド水間忠秀さん(58)は県外の6人を案内。往復約2キロの道中、他の一行と数回すれ違った。「路肩の貴重な植物を誤って踏み、環境に負荷がかかる恐れがある」と話す。
ルールは2019年2月から試行している。認定ガイドの同行が必要で、1人が案内できるのは15人まで。同じ時間帯に乗り入れられるのは認定ガイド車両が8台以下、貸し切りバスが2台以下の最大計10台。1回の駐車時間は120分以下を目安とする。
島中南部の金作原ツアーは移動を含め半日かかる。認定ガイドらがウェブ上で利用状況を共有し調整するものの、「旅行者は他に目的地があったり食事をしたりするので、どうしても申し込みの時間帯が重なる」(関係者)のが現状だ。
奄美大島エコツアーガイド連絡協議会長の喜島浩介さん(71)は「多くの会員が予約を断っている」と明かす。新型コロナウイルスの流行「第5波」が落ち着いた昨秋以降に増えたという。「今の規制でも多いぐらい。これ以上受け入れれば生態系が壊れてしまう」と危惧する。
金作原への一極集中を抑える候補地として、同協議会とあまみ大島観光物産連盟は「役勝エコロード」(奄美市)を挙げる。同市と瀬戸内町、宇検村境に近い旧県道の2.2キロ。07年の役勝トンネル開通に伴い、使われなくなった。豊かな常緑広葉樹林が広がり、絶滅危惧種リュウキュウアユがすむ役勝川が流れる。
今月上旬、現地でガイド向けの研修会を開き、約50人が植生や歴史などを学んだ。同連盟の奄美大島島コーディネーター山下久美子さん(42)は「金作原に行けなかった人をどうするかが課題。研修会をきっかけに新しいツアーを作ろうという機運が高まればいい」と話した。
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