2022年07月07日 建設局, (公財)東京動物園協会
多摩動物公園(園長 渡部浩文)では、環境省が進めるトキ保護増殖事業に協力するため、佐渡トキ保護センターからトキを預かり、非公開での飼育を行っています。
今年も飼育中のトキが産卵し、4羽が無事に育っていますので、お知らせします。
1.飼育中のトキのペアについて
ADペア オス:2004年7月3日生まれ メス:2001年4月24日生まれ
BSペア オス:2014年4月30日生まれ メス:2011年5月26日生まれ
CHペア オス:2018年5月13日生まれ メス:2018年5月2日生まれ
※BSペアのオスは新潟県長岡市生まれ、その他は佐渡トキ保護センター生まれ
BSペアのオス(左)と巣立ったヒナ
(撮影日:2022年6月17日)
2.産卵と孵化の状況
飼育中の各ペアのヒナ計4羽が育っています。
鳥の繁殖には産卵後に卵を巣から取り上げて人工的に孵卵器(ふらんき)で孵化させる「人工孵化」と巣の中で孵化させる「自然孵化」があり、ヒナの育成には人の手で育てる「人工育雛(いくすう)」と親が育てる「自然育雛」があります。
No. | 両親 | 産卵日 | 孵化日 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | ADペア | 3月10日 | 4月11日 | 人工孵化・自然育雛 |
2 | CHペア | 3月23日 | 4月19日 | 自然孵化・人工育雛を経て、BSペアが仮親として自然育雛 |
3 | CHペア | 3月25日 | 4月22日 | 自然孵化・自然育雛 |
4 | CHペア | 3月28日 | 4月24日 | 自然孵化・自然育雛 |
3.多摩動物公園でのトキ飼育の経緯
単独の施設で動物を飼育すると、感染症の発生に伴い全滅するおそれがあります。トキについても、鳥インフルエンザなどの感染症対策として、複数の施設に分散して飼育しています。
都立動物園は、40年以上にわたって佐渡トキ保護センターにおける飼育繁殖に技術協力をしてきた実績があることから、保全活動の調整機能をもつ野生生物保全センターがある多摩動物公園において2007年12月からトキを飼育し、毎年繁殖に成功しています。
4.日本国内の飼育状況(2022年7月7日現在。放鳥した個体を除く)
- 佐渡トキ保護センター
58羽(うち2022年生 3羽) - 佐渡トキ野生復帰ステーション
79羽(うち2022年生 5羽) - 多摩動物公園
10羽(うち2022年生 4羽) - いしかわ動物園
13羽(うち2022年生 4羽) - 出雲市トキ分散飼育センター
17羽(うち2022年生 7羽) - 長岡市トキ分散飼育センター
13羽(うち2022年生 4羽) - 佐渡市トキふれあいプラザ
2羽(うち2022年生 0羽)
合計192羽(うち2022年生 27羽)
参考
トキ(ペリカン目 トキ科)
(環境省レッドリスト:絶滅危惧1A類(CR)、国の特別天然記念物、国際保護鳥、東京都ズーストック種)
※「1A類」の数字の正しい表記はローマ数字です。
- 学名
Nipponia nippon - 英名
Crested Ibis - 分布
野生のトキは、20世紀初頭には中国、ロシア、朝鮮半島、台湾、日本など、東アジア一帯に広く分布しており、決して珍しい鳥ではありませんでした。江戸時代の日本でも北海道から九州までほぼ全国に生息していました。しかし乱獲と生息環境の悪化により東アジア一帯で減少が進み、中国を除き一旦絶滅しました。その後の保護活動や野生復帰の取組みなどにより、現在では中国陝西省ほか、韓国南東部及び新潟県佐渡付近に野生のトキが見られます。 - 生息地
水田や湿地、川など - 生態等
一年中ほぼ同じ場所に生息し、非繁殖期には群れをつくって集団で生活します。ドジョウ、サワガニ、カエル、タニシ、昆虫など、もっぱら動物性のエサを食べます。
1月頃、首から背中がグレーの繁殖羽に変わり、ペアでの交尾が確認されるようになります。大木に小枝を組んだ直径60~80センチメートル程度の巣をつくり、3月頃には産卵を開始します。卵は1日おきに1個ずつ、合計3個から4個を産卵します。有精卵だった場合、孵化までの日数は28日ほど。孵化後約35~45日で巣立ちを迎えます。
問い合わせ先 (公財)東京動物園協会 多摩動物公園 電話 042-591-1611(代表)17時00分まで 多摩動物公園教育普及課 電話 042-591-1616(17時00分以降直通) 建設局公園緑地部計画課 電話 03-5320-5374 |
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