食卓に並ぶバナナやグレープフルーツ。一般に流通しているのはほとんどが外国産で、国産は1%以下とも言われています。
価格が安い外国産に対抗することや、栽培自体が難しいというのが主な理由ですが、あえてこの“1%の壁”に挑戦する人たちを取材しました。
1年目は全滅、意外な人からの助けを借りて実現した「バナナ栽培」
ハウスの中に広がる南国のような風景。ジャングルのようなハウスで育てられているのは「バナナ」です。
バナナを育てている高木明日香(たかぎ あすか)さん。米やブロッコリーなど野菜を生産する会社の専務を務めています。
高木さんはおよそ5年前、バナナの栽培を始めました。そのきっかけは…?
高木明日香さん「キャベツとかブロッコリーは、商談のお土産としてかわいくないというのがあって。『こういうのも作っていますよ』という企業PRの一環として始めたのがバナナです」
「お試し」のつもりで始めたバナナ栽培。
最初の1年は温度管理に失敗し、ほぼ全滅でした。
周りにバナナを栽培している人がいないため途方にくれる中、アドバイスをくれたのは思わぬ人でした。
高木さん「技能実習生の人が『それ違います。こうやります』というように教えてくれて、『そうなんだ!』と思って逆に技能実習生に教えてもらいました」
その後、高木さんは様々な論文を読んで独学で栽培方法を工夫。ようやく自信を持って売り出すものができました。
いまではバナナを購入した人からの声も届くようになりました。
高木さん「国産だから選びました、という声があると作って良かったなと思います」
さらに一般の人に向け、バナナの樹のオーナーになってもらう制度をスタート。
収穫を体験してもらうなど楽しんで農業を学ぶ場所にもなっています。(※現在オーナー制度は希望者多数のため休止中)
高木さん「お客さんにハウスに来てもらって、今は三尺バナナがメインだが、他にも変わった品種なども植えてみて、変わり種バナナなど楽しんでもらえればと思います」
三尺バナナだけでなく、別品種の栽培にも前向きな高木さんでした。
そして、宇城市不知火町(しらぬいまち)にも、同じように“1%の壁”に挑戦する人がいます。
国内生産は“1%未満” カリブ海が原産のフルーツを「有機栽培」
農業を始めて40年の松本英利(まつもと ひでとし)さん。結婚を期に水俣市からこの地に来ました。
現在は、みかんやスモモなどを中心に9種類の作物を育てています。
そんな松本さんが13年前、新たに栽培を始めたのが「グレープフルーツ」でした。
松本果樹園 松本英利さん「少量多品目でいろいろ作ってみたいという気持ちで。苗木が手に入ったのでやってみようということで」
グレープフルーツは全国で8万4000トンもの流通量がありますが、国内の生産は1%にも満たない100トンほど。
グレープフルーツの原産は温暖なカリブ海の島々。ハウスを使わず育てるのには苦労したと言います。
さらに、ほかの作物と同様、化学肥料や農薬を使わない有機栽培にこだわりました。
松本さん「数年に1度は寒波が来て、実がなっているものが凍ってダメになったり、雪が積もったら枝が枯れたりする」
松本さんが有機栽培にこだわったのは父からの教えからでした。
松本さん「両親と祖母が水俣病患者で、親父が水俣で甘夏の無農薬をはじめて、それで私も育ててきたので」
様々な苦労を重ねようやく軌道に乗ってきた栽培。
料理に皮ごと安心して使えると、松本さんのグレープフルーツを買い求める人も増えているといいます。
松本さん「同じ品種ならば国産の方がいいと。味が良かったらリピーターの人が増えて、出荷して10年以上になるけどだんだん注文も増えてきている」
国内で生産量が少ない作物を栽培する動きについて、東海大学農学部の阿部教授は…
東海大学農学部 阿部淳 教授「消費者の側からみると選択肢が増える、商品は少し高くなることもあるが選択肢が増えることはいいことだと思う」
フェアトレードや環境問題などの観点からも可能性が広がる1%以下の国産作物。今後に注目です。
からの記事と詳細 ( 「同じ品種なら国産のほうがいい」バナナにグレープフルーツ 栽培困難な『シェア1%以下』の国産フルーツに挑戦する人たち - goo.ne.jp )
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