兵庫県内のメダカの生態調査を続けている神戸女学院大人間科学部環境・バイオサイエンス学科の横田弘文教授(54)が宝塚市北部の西谷地区のメダカのほとんどが在来種であり、生態系が維持されているとの研究結果をまとめた。遺伝子レベルの解析では、観賞用に品種改良されたメダカとの交雑は少なく、横田教授は「里山を中心とした環境を今後も維持していくのが重要」として、市と連携しながら保全に取り組む。(高部真一)
在来種のメダカは生息環境の悪化で激減し、環境省のレッドリストで絶滅危惧2類(絶滅の危険が増大)に指定されている。種類は遺伝子の型の違いで、北日本と南日本の集団に大別できる。県南部では南日本集団の中の「瀬戸内型」が多い。
横田教授が学生とともに2019年7~10月に西谷地区などの9か所(三田市1か所を含む)の池や農業用水路でメダカ76匹を採取、DNAを抽出して遺伝子を調べた。その結果、7地点ではすべて「瀬戸内型」で、他のメダカとの交雑がなく、環境が維持されていることがわかった。一方で、1か所の池で10匹中3匹、別の用水路で5匹中1匹の観賞用のヒメダカとの交雑が確認された。家庭で飼っていたものが、放流されたのが原因とみられるという。
メダカは長い時間の中で、その地域の環境に適応しながら進化しており、観賞用や他地域のメダカとの交雑が起きると、遺伝子が変化してしまう。在来種の環境への適応力を弱め、減少を加速させる恐れがあるという。メダカを飼育するのがブームになり、様々な品種がつくり出される中で、横田教授は「観賞魚は責任を持って家庭内で飼い、池などに放さないでほしい」と強調している。
市と大学は4月、包括連携協定を結んでおり、横田教授は6月に研究結果を市環境政策課に報告。今後、協力して市民への啓発をするほか、市内の「北雲雀きずきの森」など3か所の池でも調査をし、「たからづか市民環境フォーラム」で学生による発表も検討している。
市環境政策課は「市で手の回らない分野の専門的な調査はありがたい。一緒に環境を守っていきたい」としている。
からの記事と詳細 ( 宝塚の里山メダカ、ほとんど在来種「瀬戸内型」…専門家「品種改良された観賞魚は池などに放さないで」 - 読売新聞オンライン )
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