2022年12月7~19日にカナダで生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)が開催される。30年までの次期世界目標が採択される見通しだ。気候変動とも関わる重要課題として生物多様性への関心が高まるなか、生物多様性の保全を目的とする投資が広がりつつある。世界銀行は22年3月、「野生生物保護債」(通称:ライノボンド(サイ債券))を発行した。南アフリカでの絶滅危惧種の保護を目的とする債券で、年限は5年、発行額は1億5000万ドル(約222億円)である。9月にも、生物多様性の保全の重要性を啓発することを目的とする10年債を3億1500万豪ドル(約299億円)発行しており、明治安田生命保険や富国生命保険などが購入した。
これらの債券の発行に関わったシティグループ証券金利商品本部金利為替ストラクチャリングESG業務共同責任者ディレクターの安達薫氏に、生物多様性に関するESG投資の動向について聞いた。
シティグループ証券は「生物多様性債」の発行に積極的に関わっている。投資家の反応は。
安達 シティグループは、生物多様性を気候変動と同時に取り組むテーマとして捉えている。(企業が自然への依存度と影響を把握して開示する枠組みをつくる)自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の発足にも携わった。生物多様性に対する日本の投資家の関心も徐々に高まっていて、22年の春ごろからTNFDについて聞かれる機会が増えてきた。野生生物保護債にもかなりの反響があり、今後も同じような債券が出るのかといった問い合わせが非常に多い。
生物多様性を重要視している発行体からも、具体的なプロジェクトに絞って債券を組成できないかといった問い合わせが増えている。今後、生物多様性に関する債券が増えてくるだろう。野生生物や熱帯雨林の減少を阻止、回復させるプロジェクトにはビジネスチャンスが見込める。シティグループの試算では、年間で5980億~8240億ドル(約88兆~約122兆円)の資金ニーズがある。
安達 薫 氏
シティグループ証券 金利商品本部 金利為替ストラクチャリング ESG業務共同責任者 ディレクター
(写真:シティグループ証券)
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