近年はフルーツをテーマにして作品づくりをする西山さん。新作「甘いバナナの…」の表面には幸運を呼ぶ巻物や願いがかなう打ち出の小づちなどを描いた=福岡市で2023年12月4日、本多由梨枝撮影
(毎日新聞)
博多人形師の西山陽一さん(44)=福岡県太宰府市=による「フルーツ」をテーマにした個展「ありがた実」が、福岡市早良区のはかた伝統工芸館で開かれている。西山さんは「食品も作品も価値観は手に取る人によって変わる。生産者と自分たち作家の立場は似ていると感じた」と話した。
バナナを題材にした新作「甘いバナナの…」は縁起物としてだけでなく、生産過程で起こる社会問題も表現した。日本に輸入されるバナナの約8割がフィリピン産とされる。同国の農園の中には広大な農地に小型飛行機で農薬を空中散布する所もあり、農薬は風向きにより農地以外にも飛散し、周辺で暮らす人々に皮膚病など健康被害をもたらしているという。西山さんは「このことを作品で伝えようと思った」と話す。
作品の表面には幸福や平和を願い、トンボや打ち出の小づちなどの縁起物を色鮮やかに描いた。裏面は農薬で汚染された川などを黒色の模様で表現しつつ、人を守ることを表す鍵や隠れみの笠(かさ)も描き「苦しむ人々を守ってほしい」との願いを込めた。
会場にはツルやカメなどをデザインした色彩豊かなモモやリンゴなど約15点の作品も並べた。西山さんは「昔からお供え物や縁起物として大事にされてきた果物のありがたさを改めて感じてもらいたい」と話す。また来年のえと「辰(たつ)」や大黒天などの作品も展示し、上下を逆さにすると喜怒哀楽の異なる表情を楽しめる人気作品「だるまるだ」は人形の他にキーホルダーなども販売する。
西山さんはみやま市出身。2015年に伝統工芸士に認定され、17年から博多祇園山笠の大黒流の舁(か)き山を手がける。個展は19年から毎年開催し、今年で5回目。入場無料、10日まで。はかた伝統工芸館(092・409・5450)。【本多由梨枝】
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